V長崎・MF秋野央樹 2年連続主将 「どんな状況でも100%で」

2021/02/26 [11:15] 公開

昨季の悔しさを糧に「泥くさくても勝たなければいけない」とチームを鼓舞するMF秋野。2年連続主将を任された

 MF秋野央樹(26)が2年連続でV長崎の主将を担うことになった。シーズンオフに監督から「今年も頼む」と直談判され、二つ返事で引き受けた。昨季40試合に出場し、誰よりも長くピッチに立ったボランチは「やっぱり勝つV・ファーレン長崎を見せたい」と再び戦う気持ちを奮い立たせている。
 開幕に先立って14日に行われた決起集会。全選手が入場した後に2021年シーズンの主将が発表されると、秋野は壇上で一歩前に出て、静かに思いの丈を述べた。
 「サッカーというスポーツは、どんなにいい監督、選手、戦術があっても同じ方向を向いていないと勝てない。自分が同じ方向を向かせて、すばらしいプレーと熱い気持ちを持って戦えば、必ずJ1昇格を果たせる」
 インターネットの生配信を見守るファンだけでなく、チームメート、スタッフ、クラブ、V長崎にかかわるすべての人に強く訴えかけるような言葉だった。
 昨季のV長崎は終始上位でリーグを進めたが、三つどもえの昇格争いに敗れて3位に終わった。チームは一体感を持って戦い続けた一方、ピッチ外で不協和音が生じていた事実が、最終盤になって明るみに出た。昇格した2チームとの勝ち点差は4。わずかなほころびが悔やまれる結果となった。
 12月16日のJ2第41節、ホーム甲府戦。昇格消滅を告げるホイッスルが鳴り響くと、普段クールな男は人目をはばからず、ピッチ上の誰よりも涙を流していた。
 「いいサッカーをやっているから大丈夫、ではなく、泥くさくても格好悪くても、勝たないといけない。そこははき違えないようにしなければいけない。あの悔しさを晴らすため、死に物狂いでやるしかない」
 自分たちのサッカーが通用した自負はある。昇格まであと一歩届かなかった理由も、痛いほど分かっているつもりだ。もう、同じ轍(てつ)を踏む気はない。
 「練習でも試合でも、どんなときも、どんな状況でも自分ができることを100パーセントでやることが本当に大事。何かを発言しなくても伝わることはある」
 仲間の先頭に立ち、背中で示す。ピッチ上では最後方から全体を見渡し、チームをあるべき方向へ導く。そんな頼もしいリーダーが、今年もV長崎にいる。

◆ルアンを軸にチームづくり:トップ下かサイドハーフで先発へ

 V長崎は攻撃の軸にMFルアンを据えたチームづくりを進めている。ブラジル出身の背番号10は昨季フル出場はなく、出場31試合のうちスタメンは10試合のみ。まだポテンシャルを生かし切れているとは言い難いが、それでも6ゴールを記録した。今季はスタメン起用を増やす方針だ。
 フォーメーションは、ルアンがトップ下に入る「4-2-3-1」が第1候補になる。波長が合うMF名倉との小刻みなコンビネーションで、中央の狭いスペースを見つけて進入する。「4-4-2」を採用した場合、ルアンは左右のサイドハーフでプレー。スピードと突破力を生かした攻撃を仕掛ける。
 FWは昨季同様レギュラー争いが激しく、リーグ戦を通じて高いパフォーマンスを発揮する選手が定位置を獲得するだろう。新加入した都倉、期限付き移籍から完全移籍に切り替わったエジガルジュニオらリーグ屈指の顔触れ。40歳の玉田は直接FK弾が魅力で、富樫は昨季チーム最多の7ゴールを挙げている。
 ボランチは秋野、カイオセザールが不動の地位を築いている。最終ラインは昨季をベースに新加入の新里や鍬先がスタメンに絡んできそう。コロナ禍で5人交代枠が今季も維持されることから、守備的ポジションならどこでもこなせる磯村はベンチ要員として重宝される。

攻撃の要として期待されるMFルアンは在籍2年目