やさしい日本語 共に学ぼう 佐世保市職員と留学生が研究会

2020/11/29 [15:00] 公開

やさしい日本語に関する課題に取り組む留学生(中央2人)と佐世保市職員=佐世保市役所

 佐世保市は、職員と市内在住の留学生が一緒に「やさしい日本語」を学ぶ研究会を始めた。簡易で誰もが分かりやすい「日本語」を使うことで、市民も外国人も暮らしやすいまちづくりの弾みにしたい考えだ。長崎県内でも珍しい取り組みという。

 「『秋が深まる』って何?」「どんどん秋らしくなることかな…」
 12日午後。市役所の一室で、約20人の職員が長崎短大の留学生とグループをつくり、模造紙を囲んでペンを走らせた。この日の課題は研修会の案内文を平易な日本語に書き換えること。市民税課の西加奈子さんは「思いもしないところでつまずくことに気付いた。異文化交流としても楽しい」と話した。
 研究会は10月から月に1度開いている。外国人の利用が多い子育てや戸籍などに関する部署の職員と、長崎短大に在籍するベトナムやミャンマーなどの留学生が参加。来年1月まで「やさしい日本語」の考え方や変換の仕方などを学ぶ。
 背景には、地域の情報が外国人に伝わっていないという懸念がある。市内では3月末時点で46の国・地域の外国人約2千人(米海軍佐世保基地の関係者約7千人は除く)が生活しているが、市が昨年度実施したアンケートでは、生活情報を市のホームページから得ている人はわずか4%にとどまった。市国際政策課は「全ての言語への対応は難しい。やさしい日本語を使える職員を増やし、コミュニケーションツールにしたい」とする。
 外国人がどんな日本語を難しい、分かりづらいととらえているのか。それを把握するため留学生を研究会に招いたが、留学生にとってもプラスに働いた。同短大の岩〓(fa11)千恵准教授は、留学生が「講師役」を務めることで、地域の一員としての意識と自己肯定感が高まると強調。参加したミャンマー出身のイ・タンダー・ソーさん(27)も「一緒に考えてくれることがうれしい」と笑顔で話す。
 市は今後、市民向けの講座の企画にも生かしたい考え。同課は「外国人が住みやすい町につなげるため、少しずつ変えていきたい」としている。