「オノマトペル」MVを制作 長崎日大高3年、田中響さん プロと仕事「貴重な経験」

2020/10/29 [15:00] 公開

MVの原画と写真に納まる田中さん=諫早市貝津町の自宅

 長崎日大高(長崎県諫早市貝津町)デザイン美術科3年の田中響(きょう)さん(18)が、プロのポップスユニット「オノマトペル」の新曲「どんぐり山の天下」(ツベラコベラレコード)のミュージックビデオ(MV)を制作した。同曲は28日発売、配信開始。MVは長崎市出島町の県美術館で同日始まった同科の第53回卒業制作展(11月1日まで)でも、原画の一部とともに公開されている。
 田中さんは「プロの仕事に関わるという貴重な経験をさせてもらえた。質の高い作品ができた」と、うれしそうに話す。
 田中さんは幼い頃から絵を描くのが好きで、オリジナルのキャラクターで漫画を描いたりするのが趣味。中学時代は美術部で活動し、高校1年の時に県展入賞を果たした。
 「オノマトペル」はボーカルの横沢ローラさん、ピアノの工藤拓人さんのユニット。「どんぐり山の天下」は宮沢賢治の童話「どんぐりと山猫」へのオマージュを込めた曲だ。
 MVはアニメーションで、擬人化したドングリたちがリーダーを決めるために競い合うストーリー。日本画のタッチで描かれた大小さまざまなドングリが、ファンキーなリズムに乗って楽器を奏でたり、ダンスを踊ったりする様子がコミカルに描かれている。
 MV制作は5月、田中さんの父親と親交があった横沢さんが依頼。新型コロナウイルス禍でMV撮影ができない中、田中さんのイラストを見て思い付いたという。「映像制作に挑戦するのは初めてでワクワクした」と田中さん。
 横沢さんと無料通信アプリLINE(ライン)でやりとりをしながらキャラクターのデザインなどを決め、7月から本格的に作業に着手。筆ペンを使い、1カ月半ほどで約510枚の白黒原画を描き、着色。たくさんの絵をパラパラ漫画のように連続して再生する専用ソフトで、約5分半のMVに仕上げた。
 横沢さんは「曲の雰囲気とピッタリ合っている」と高く評価。田中さんは「将来は映像制作の道に進みたいので自信がついた」と語る。MVは動画投稿サイト「ユーチューブ」の同ユニット公式チャンネルでも公開されている。
 長崎日大高デザイン美術科の第53回卒業制作展は、3年生30人が手掛けた絵画や立体、映像、写真、服飾など個性あふれる作品を中心に、同科の1~3年生が授業で制作したデッサンやデザイン画など計約350点を展示。最終日の11月1日午後2時から会場でギャラリートークがあり、田中さんら同科の3年生が、それぞれの作品について解説する。入場無料。

「どんぐり山の天下」のミュージックビデオのワンシーン