長崎大 福島・大熊町と連携協定 放射性物質測定や健康相談

2020/07/31 [13:30] 公開

 長崎大は30日、東京電力福島第1原発が立地し、同原発事故で全町避難となった福島県大熊町と、町の復興のために放射性物質の測定や健康相談などで協力し合う包括連携協定を結んだ。同大が福島県内の自治体と同様の協定を結ぶのは川内村、富岡町に次ぎ3例目。
 同大は協定に基づき、大熊町役場内に復興推進拠点(サテライトオフィス)を設置する。川内村、富岡町で培った経験を生かし、保健師兼看護師、薬剤師が交代で常駐し、住民の外部・内部被ばく線量を測定・評価し、健康相談や講演活動を通じて住民の健康管理を支援する。
 大熊町役場で開かれた締結式では河野茂学長と吉田淳町長が協定書に署名。復興支援に携わる長崎大原爆後障害医療研究所の高村昇教授は取材に対し「原発が立地する大熊町の復興は困難が伴うが、戻った人が『戻って良かった』と思える環境、戻りたい人が安心して戻れる環境づくりのお手伝いをしたい」と話した。
 同町は除染や復旧作業を経て2019年4月に一部(大川原地区、中屋敷地区)の避難指示が解除された。町によると、住民約1万人のうち戻ったのは約240人。町は復興に向けた基盤づくりを進めており、放射線量の検査や安全・安心の担保が重要な課題となっている。