ダウン症 歌とダンスで生活改善 医師ら協力「パタカラプラス」公開中

2020/07/09 [16:30] 公開

「パタカラプラス」の動画

 歌とダンスでダウン症の人の口腔(こうくう)機能改善と日常生活能力向上を図る企画「パタカラプラス」の動画が、長崎県内の医師、音楽教師、ダンスインストラクターらの協力で完成し、ユーチューブで公開されている。この動画に合わせ歌って踊る様子を専門家に定期的にチェックしてもらい、約1年かけて効果を評価。将来的には人工知能(AI)を使って改善効果を自動評価する仕組みの構築を目指す。
 みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家(諫早市小長井町)の近藤達郎医師が会長を務める「染色体障害児・者を支える会(バンビの会)」が企画。近藤医師によると、長年の診療経験から、ダウン症の人は発語や嚥下(えんげ)に苦慮していたり、日常生活の動きも筋力低下や不器用さなどでスムーズでなかったりするケースが多いという。
 パタカラプラスは、口腔機能訓練の一つ「パタカラ体操」に全身体操を加えた歌とダンスで、日常生活に豊かさをプラスするという意味を込めた。むつみの家の言語聴覚士が訓練につながる言葉を、作業療法士が体の動きを、それぞれ検討。それを基に公立中学校の音楽教師、松本公義さんが歌「パンダのたからもの」を作詞作曲し、ダンスインストラクターの山口邦子さんが振り付けを担当した。
 動画では、長崎市高島を拠点に活動する音楽グループ「RAINBOW MUSIC(レインボーミュージック)」の歌と音楽に合わせ、山口さんが指導するダンスチームが踊っている。現在、ダンスはバージョン1~4まであり、難易度も順番に上がる。ダウン症の人に継続して踊ってもらい、約3カ月ごとに動画を撮影し、専門家に評価してもらう。いずれは自宅で踊っている姿を撮影し、それを基にAIを活用して自動評価できるようにしたいという。
 近藤医師は「歌や踊りを楽しみながらトレーニングできるので、ダウン症などさまざまなハンディを抱えている人に試してほしい」と話している。動画はユーチューブで「パタカラプラス」で検索。問い合わせは電子メール(patakaraplus@banbinokai.com)で。