新型コロナ収束まで寄港自粛を 長崎県、方針転換

2020/04/27 [10:48] 公開

 長崎県は26日、クルーズ船に対し新型コロナウイルス感染症が収束するまで、長崎への寄港自粛を求めていく意向を明らかにした。これまで県はクルーズ船の誘致に積極的だったが、三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊中の船で新型コロナウイルス集団感染が発生し、方針転換した。
 長崎港の港湾管理者は県だが、港湾法は船舶の寄港について「何人に対しても不平等な取り扱いをしてはならない」と定めている。県港湾課によると、感染拡大防止が理由であろうと入港を拒否するのは難しい。しかし緊急事態宣言が本県にも拡大した上、クルーズ船の集団感染を受け、対応の検討に入った。
 香焼工場にとどまっていたコスタクルーズ所有3隻のうちコスタ・アトランチカで感染が発覚した後、県は国を通じて早期出港を要請。4隻目は燃料不足で漂流の恐れがあり松が枝岸壁で受け入れたが、出港予定時刻を過ぎても離岸せず、県は条例に基づき移動命令を発令していた。
 集団感染に関する26日の記者会見で、平岡昌樹港湾課長が「人道的な理由がない限り、当面は受け入れない方向で対応を検討する」とした。アトランチカの出港見通しについて中田勝己福祉保健部長は「船内は多くの人が密集している。早く乗組員を帰すことが感染拡大防止につながるが、それなりの時間を要する」と述べた。