わがまち回顧 佐世保支社 森きららの移設を検討 広域都市圏で紆余曲折

2019/12/29 [09:30] 公開

俵ケ浦半島への移設の検討が始まった森きらら=佐世保市

◎森きららの移設を検討

 佐世保市は、九十九島動植物園(船越町、森きらら)を俵ケ浦半島に整備予定の観光公園に移設することが可能かどうか検討を始めた。
 1961年に市亜熱帯動植物園として開園。2015年度からは市の第三セクター「させぼパール・シー」が指定管理者として運営している。
 市は入園者数の伸び悩みなどを背景に、在り方を検討してきた。18年には、ソフトの充実を基本として現在地で再整備する方向性をまとめた。しかし朝長則男市長は5月、全天候型施設を設ける形での移設検討を指示。観光商工部と企画部が検討に入った。
 夏からは移設した場合のコンセプトや展示内容について議論。市議会12月議会の総務委で市は、動植物の生息地の再現やショーの充実といった方針を示した。来年度の補正予算案で基本設計などに関する費用の計上を目指す。
 市民に愛され続けるためにも、施設の老朽化や荒天・酷暑の際の集客など課題の解消は必要だ。しかし移設検討だけでなく、施設の再整備に向けて策定した活性化計画を途中で終えるなど、運営を巡る突然の方針転換が目立つ。生物と来園者の両方を見据えた検討を期待したい。

◎広域都市圏で紆余曲折

 佐世保市を中心とする11市町でつくる連携中枢都市圏「西九州させぼ広域都市圏」への北松佐々町の加入を巡って、紆余(うよ)曲折をたどる1年となった。
 広域都市圏は4月にスタートした。佐々町も参加予定だったが、町議会は2018年12月に関連議決を否決。町は市との連携協約の締結直前に脱退した。
 しかし9月の町議会で形勢は一転した。町議会の定数10人のうち賛成派の5人が、都市圏に参加するよう町側に求める決議案を上程。賛成多数で可決された。背景には、7月の議長交代に伴って、賛成派が議会の多数を占めるようになったことがある。
 決議を受けて、古庄剛町長と川副善敬議長は連携市町を行脚して経緯を説明した。町は10月、佐世保市に対し、正式に参加を申し入れた。12月定例佐世保市議会では、佐々町が加入する準備手続きの条例改正案を可決。今後、市と佐々町が連携協約を結ぶ議案を両議会で可決する必要がある。
 広域都市圏の地図の真ん中に空いていた“大きな穴”は埋まることになりそうだが、ごみ処理の在り方といった課題を解決することができるのかが注目される。

◎主なニュース

 ▼佐世保市交通局(市営バス)運行終了▼佐世保市を中心に11市町でつくる連携中枢都市圏「西九州させぼ広域都市圏」がスタート▼佐世保市長選で現職の朝長則男氏が4選▼ハウステンボス(HTB)の澤田秀雄氏が社長を退任▼佐世保鎮守府開庁と佐世保港開港130年▼佐世保商工会議所の新会頭に佐世保魚市場会長の金子卓也氏選出▼米海軍佐世保基地に強襲揚陸艦アメリカが配備

「西九州させぼ広域都市圏」への参加について紆余曲折した北松佐々町=佐々町役場