ややこしい言葉

2019/11/07 [09:18] 公開

 「おかしくてたまらないさま」を指して「噴飯もの」という。食べている飯を笑って噴き出す様子からきている。では、上司をおだてようと「部長のジョーク、いつも噴飯ものですね」と言ったらどうなるか。ムッとされるに違いない▲「物笑いの種になるような」「ばかげた」という意味合いを「噴飯もの」は含んでいて、人をおだてる場合には適さない。言葉の用い方は、時にややこしい▲先ごろ発表された文化庁の「国語に関する世論調査」の結果にも、ややこしさを感じる。「ぶぜん」の意味を聞くと、正答の「失望してぼんやりする様子」よりも、元の意味とは違う「腹を立てている様子」という答えの方がずっと多かったという▲これを指して、直ちに「誤りが広まっている」とはいえない気もする。例えば、閣僚の相次ぐ辞任や失言に国民が怒り、渋面を浮かべるのを「ぶぜんとする」と言い表しても、誤りとは思えないし、おかしいとも思えない▲これは正しくて、それは正しくないと、たやすく分けづらい場合がある。日本語は難しい▲きのうの国会の審議では、受験生に向け「身の丈に合わせて」と発言した萩生田光一文部科学相に野党の追及の矢が飛んだ。ばかげた発言には違いないが「噴飯もの」と笑い飛ばせず、しかめっ面しか向けようがない。(徹)