世界に挑む高校生

2019/10/28 [09:39] 公開

 今年のノーベル平和賞は、エチオピアのアビー・アハメド首相への授与が決まった。約20年にわたる隣国エリトリアとの国境紛争を平和裏に終結させたことなどが評価された▲事前の予想でもアビー氏は有力とされたが、最も注目されたのは温暖化防止を訴える世界的な「学校ストライキ」の火付け役グレタ・トゥンベリさんだった▲スウェーデンの16歳の少女は9月の気候変動サミットでも演説し、存在感を増していた。2014年に17歳で選ばれたパキスタンのマララ・ユスフザイさんを抜き史上最年少受賞になるかとみられた▲有力候補には14年の香港民主化デモ「雨傘運動」を主導した羅冠聡さんらの名前も挙がり、若者の活動にスポットが当てられていた▲核兵器廃絶を求める署名を国連に毎年夏に届けている「高校生平和大使」も昨年から平和賞の候補となっている。受賞はならなかったが「核兵器をなくすまでこつこつと活動を続けていきたい」と語るメンバーは頼もしく、22年続いてきた活動が被爆地にしっかり根付いていることを感じさせた▲平和大使に託す署名を集める高校生1万人署名活動実行委員会が先日、来夏に向けて始動した。核情勢が急速に悪化する中、世界の流れを変えようと挑む高校生の尊い行動を、被爆地は見守り、支えていきたい。(久)