五島列島 ジオパーク認定へ審査

2019/08/17 [00:00] 公開

ジオサイト候補地の一つで、魚津ケ崎公園の沖にある「立小島」(右奥)を視察する審査員(左2人)=五島市岐宿町

 日本ジオパーク委員会(JGC)が15~17日、長崎県五島市で、五島列島の日本ジオパーク認定の可否を判断する現地審査を進めている。16日は行政や地域住民に活動状況を尋ね、見どころとなるジオサイト候補地を視察。審査員は「ジオパークを今後、地域でどう活用していくか探求することが重要」と助言した。10月3日に結果が判明する。
 JGCの定義では、ジオパークは「ジオ(地球)を丸ごと学び、楽しむ場所」で、国内の44地域が認定されている。希少な地形や地質にとどまらず、その土地で営まれる人々の暮らしや文化、自然環境にも注目。認定では、それらを教育や観光といった地域振興にどう活用するかを重視し、4年に1度の再審査もある。
 五島列島は、ユーラシア大陸から流れた砂や泥が堆積した「五島層群」や火山活動で形成され、生態系や文化面でも大陸と関係が深い。市内では2017年6月、行政や観光事業者、学識者らが「五島列島ジオパーク推進協議会」(会長・野口市太郎市長)を設立。訪問者に価値を説明するジオガイドの養成や小学校での出前講座などに取り組み、今春、JGCに市内58カ所をジオサイト候補地とする申請書を提出した。
 同市を訪れた審査員は、JGC調査運営部会の宮原育子部会長(宮城学院女子大教授)ら3人。16日は、協議会の会員らに現在の活動状況や課題、認定後の活用計画などをヒアリング。五島層群を見学できる岐宿町の「立小島(たてこじま)」など、市内数カ所のジオサイトを視察した。審査員からは「専門的な説明だけでなく、地形を生かして人々がどのように暮らしているか伝えてほしい」「学術的な説明だけでは分かりづらい。地形の模型を使うなど、子どもでも『何が面白いのか』が分かる説明が必要」などと指摘があった。