2019さが総文が開幕 「たくさんの経験持ち帰る」

2019/07/28 [00:16] 公開

鑑賞した芝居の感想や意見を述べる立川さん(中央)=佐賀県、鳥栖市民文化会館

 第43回全国高校総合文化祭「2019さが総文」が27日、佐賀県で開幕した。鳥栖市で始まった演劇部門(29日まで)は、全国の各ブロック大会を勝ち抜くなどした12校が出場。本県高校の出場はかなわなかったが、各校の芝居を評価する生徒講評委員(17人)に瓊浦高演劇部の部長、立川寛樹さん(18)=3年=が就いている。初日が終わり、「全国のレベルの高さを肌で感じた。自分の経験とリンクさせながら評価していきたい」と意気込んでいる。
 瓊浦高演劇部は、「通し稽古」を1日に3回ほど繰り返すようなハードな練習を重ね、昨年11月の県予選に臨んだ。結果は優秀賞(2位)で、九州ブロックの大会やその上のさが総文出場には至らなかった。当時、3年生は涙を流したという。立川さんは「本気でやったからこそ悔しかった」と振り返る。
 生徒講評委員は、出場校の60分間の芝居を客席で集中して鑑賞。その後すぐに講評会場に集まり、委員17人で30分間討論する。終わると客席に戻り、次の芝居を見る。これを1日2~5回繰り返す。夜は宿泊先で、日中に講評し合った内容を各芝居ごとに文章にまとめ、会期中に会場で配布。演劇の魅力を伝えるのが役目だ。委員同士の討論は市民や生徒が傍聴でき、これを楽しみにしている演劇ファンも少なくない。
 27日の最初の上演は、性的少数者(LGBT)など性の多様性をテーマにした栃木県立小山城南高の作品。「本当はこの舞台に立ちたかった」。立川さんはそんな思いもよぎったが、全神経を集中して見つめた。
 講評会の会場は、活発な意見や感想が飛び交った。立川さんは「自分が自分のことをしっかり認め、周りがLGBTなどについて理解しようとすることが大事だと思った」「一人が変われば世界も変われるのではないかと感じた」と発言。うなずく委員の姿もあった。
 「さが総文でたくさんの経験をしたい。そして講評の仕方など学んだことを学校に持ち帰り、来年の全国大会出場権獲得につなげたい」。立川さんは目を輝かせ、次の芝居を見るため客席へ向かった。