「半分」の日に

2019/06/30 [09:49] 公開

 暑さに強く、生命力の強いカヤにあやかるという。「茅(ち)の輪くぐり」とは、夏場を無事過ごせますようにと、カヤでできた大きな輪をくぐり抜ける行事を言い、旧暦での6月みそか、新暦では、きょう6月末日や7月末日に行う神社がある▲夏本番を前に無病息災を祈る行事は、年の半分が過ぎる時分に巡ってくる。皆さんにとって「もう半分」か「やっと半分」か、1年の真ん中で過ぎた半年を振り返り、先の半年が穏やかであるよう願う時節に当たる▲2カ月前、平成が幕を閉じて令和へと移った。世に清らかな風が吹き込むように感じられた「前半」だったろう▲なにかと清新さにあふれていたかといえば、もちろんそうではない。例えば今月の新潟・山形地震で思い知らされたように、「災害の日常化」という昨今の不穏な形容は令和の世にも当てはまる▲政治の空気もまた、清らかとは形容しがたい。先ごろ閉幕した国会の前半では毎月勤労統計などの不正、後半では老後資金の「2千万円問題」が取り沙汰されたが、政府が意を用いて説明し、与野党が言葉を尽くして議論した跡はうかがえない▲「後半」はどんな風が吹くだろう。参院選公示は7月4日に迫り、10月には消費税増税が予定される。真夏の暑さはどうか、災害はどうか。気をもみながら無事を願う。(徹)