家族らの応援を力に! 新上五島出身のシンガー・ソングライター 浩子クレメニアさん

2019/05/16 [09:49] 公開

地元長崎で活動の場を広げるシンガー・ソングライターの浩子クレメニアさん=長崎新聞社

 福岡を拠点にしている長崎県新上五島町出身のシンガー・ソングライター、浩子クレメニアさん(27)は、ライブやラジオ出演など、地元長崎で活動の場を広げつつある注目の新進アーティスト。6年前に古里を離れて音楽活動を開始。昨年11月、初の6曲入りミニアルバム「歩-aruku-」をリリースした。歌の世界で「長崎といえば私、という存在になれたら本当にうれしい」と夢を語った。

 ■明るい歌声

 インターネットで公開中のミニアルバム収録曲「咲き誇れ」のミュージックビデオでは、弾むようにギターを奏でながら、表現力あふれる明るい歌声を響かせている。頑張る人を励ます歌詞、真っすぐで爽やかな曲調が印象的。堂々としたパフォーマンスだが、以前は人前に立つのが苦手だったそう。「自分でもびっくり」と振り返る。

 母がフィリピン出身のハーフ。父の郷里である上五島で生まれ育った。幼い頃は授業で手を上げられないほど内気だったが、中学3年の時、島内の弁論大会で最優秀賞に選ばれた。

 題名は「私の母」。「ハーフであることを理由にいじめられた時期があり、自分が嫌いだった。けれど、母は1人で日本に来てすごいな、自分もこういう人になりたいな、という気持ちを(弁論発表で)初めて打ち明けた」。涙ながらの発表に、審査員も泣いていた。「自分が伝えることで人の心を動かすことができるんだな」と、表現に目覚めた瞬間だった。

 ■「愛」テーマ

 高校卒業後は島内で就職したが、21歳の時「自分を変えたい」と福岡市へ。「どうせ島を出るなら、あこがれていることをやってみよう」と、福岡市を拠点に活動していた音楽ユニットの新メンバーオーディションに挑戦し合格。「もっと先に進みたい」とユニットを卒業し2017年、本名にちなんだ「はらひろこ」の名でソロ活動を始めた。

 曲は日々感じたことを書きためて、ギターで歌ってみたり、楽器の音のイメージから言葉を探したりして作る。テーマは「愛」。伝えたい思いや、今の気持ちなどを表現し「書きながら自分を知っていっている気がする」。

 大きな転機は昨年4月。自らのルーツを知ろうとフィリピンの母の実家を訪れた。跡継ぎのいない実家を心配する祖母から「クレメニアを継いで」と言われ、「じゃあ残すね」と歌手名を改めることに。「おばあちゃんがすごく喜んでて」と、自身もうれしそう。

 ■長崎公演も

 長崎では昨年夏、長崎市民FMの番組にゲスト出演後、同局でメインパーソナリティーを務める番組「ホシノヒカリ」(月曜午後7時)を開始。曲が地場企業のCMや、NBC長崎放送のテレビの天気予報(4月から)に起用されている。NBCラジオの新番組「浩子クレメニアの聴いてクレメニア!!」(月曜午後8時)も4月にスタート。ラジオ収録などで週1度、長崎市を訪れ、今は長崎が仕事の中心だ。

 現在、オリジナル曲は20曲ほど。ミニアルバム「歩」には「咲き誇れ」のほか、古里の島を歌った「守るべきもの」などを収録。19日に長崎市でライブを予定。8月には福岡市で、これまでで最も大きい100人収容の会場でのソロコンサートが控え、9月の長崎公演も決まった。

 「今は(認知度が)まだまだなので不安。どこで会う人にも、私のことを知ってほしい」。道の険しさを実感しながらも、周囲や古里の家族の応援を力に前に進む。「お父さんから、テレビCMを見るたびに電話がかかる。知り合いに『頑張ってるね娘は』と言われて、うれしかったみたい」。この日一番の笑顔で語った。

 ▽浩子クレメニアさんのライブ「ホシノヒカリタチvol.1」は19日午後6時半から長崎市船大工町のsunnyで。入場料前売り2千円(当日2500円)。問い合わせはアシスト長崎(電090.3323.4215)。

ミニアルバム「歩―aruku―」のCDジャケット