潰瘍性大腸炎の団体設立 佐世保の県職員・五十嵐さん “支え”必要だと周囲に伝えて

2019/05/05 [09:35] 公開

「若い世代が助けを発信できるよう、手助けしたい」と活動を始めた五十嵐さん=佐世保市内

 長崎県佐世保市在住の県職員、五十嵐総一さん(31)は、厚生労働省指定難病「潰瘍性大腸炎」などの当事者団体、長崎IBD友の会「ユアジール」を設立した。五十嵐さんは「若い世代がSOSを発信できるよう手助けをしたい」と話す。

 症状が出たのは、受験を控えた中学3年の冬だった。慢性的な腹痛や下痢、下血が続いた。「たまたま続いただけ」と深く考えなかったが、受験が終わって病院に行くと「潰瘍性大腸炎」と診断された。

 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜がただれ、激しい腹痛や便意を繰り返す原因不明の難病。炎症が続くとがんの危険性が高まるとされる。県難病相談・支援センター(長崎県長崎市茂里町)によると、2017年度末の患者(特定医療費受給者証所持者)は、全国で12万8734人、県内は1331人に上る。

 早期の発見だったため、症状は1カ月ほどで落ち着いた。佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)入学後は、日々の生活に追われ、定期的な受診から足が遠のいた。しかし2年の冬に症状が再発。トイレの回数が増え、1日に10回ほど行くことも。年頃でもあり、友人や先生に相談できない時期を過ごした。

 その後、症状は回復と悪化を繰り返したが、約2年前に深刻化。3カ月の入院生活を送った。大腸全摘の恐れもあり、死を意識したとき、発症した頃の自分の姿が浮かんだ。「当時は『なんで誰も助けてくれないんだ』と思っていた。でも“支え”が必要だと、周囲に発信しておけば悪化しなかったかもしれない」。そう思って会の設立を決めた。

 支援センターの「難病カフェ」に参加するなど、今後活動を本格化させる。情報交換や親睦を深め、病気への理解を広げるつもりだ。6月8日午後2時から同センターで開かれる難病カフェで講演する。

 「15歳の自分と若い当事者を重ね、助けを発信するのは自分の役割だと気付いてほしい。そのためのバックアップをしたい」