【平成の長崎】出島表門橋が開通 日蘭友好誓い記念式典

2019/03/10 [00:00] 公開

 江戸時代に貿易の窓口として栄えた歴史を伝える国史跡、出島和蘭商館跡(長崎市出島町)と対岸を結ぶ「出島表門橋」の完成記念式典が11月24日、現地で開かれた。旧出島橋が撤去されて以来、130年ぶりに開通したシンボルの完成を日蘭の出席者が祝い、両国の友好を誓った。同市は、出島のオランダ商館医だったシーボルトゆかりの地、ライデン市と姉妹都市提携を同日結んだ。

 式典は対岸の江戸町に整備した「出島表門橋公園」であり、市民代表や日蘭の来賓ら約800人が出席。秋篠宮ご夫妻、オランダ王室からウィレム・アレクサンダー国王の弟の妻、ローレンティン妃が臨席された。

 田上富久市長は「表門橋は未来への架け橋。出島に学びつつ、繁栄と平和をつくる世界都市を目指す」とあいさつした。ローレンティン妃は日本語で「長崎とオランダの絆がさらに強いものになる」と祝辞。秋篠宮さまは「両国の交流が発展することを祈念しております」と述べられた。

 テープカットで開通後、出席者が渡り初め。貿易で栄えた往時と同じ方向から出島に入り、来賓らは復元した建物群を視察した。新たな日蘭交流の始まりを祝うレセプションもあった。

 一般公募で参加した長崎市西山本町の宮崎千鶴子さん(73)は「歴史的な瞬間に立ち会えて光栄。橋を生かしたイベントが増えて長崎が盛り上がってほしい」と笑顔で話した。

 長崎市によると、表門橋は鉄製、長さ38.5メートル、幅4.4メートル。史跡保護のため、橋の重点を江戸町側に置く特殊構造を採用している。一般供用は25日午前8時からで、記念イベントも開かれる。
(平成29年11月25日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

約130年ぶりに架橋した出島表門橋。世界と長崎との懸け橋として人々が行き交う光景が再現された=長崎市