大草履に女性「わっしょい」 奇祭「ヘトマト」

2019/01/21 [00:03] 公開

 締め込み姿の男衆が大草履に女性を乗せて担ぎ上げたり、わら玉を奪い合ったりする国指定重要無形民俗文化財の奇祭「ヘトマト」が20日、長崎県五島市の下崎山地区であり、集落は活気を帯びた。
 ヘトマトの起源や語源は不明だが、無病息災や子孫繁栄、豊作豊漁などを願う伝統行事として、同地区に古くから伝わる。子どもや青年団員らが地元の白浜神社で相撲を奉納した後、いずれも新婚の牟田亜紗美さん(29)=向町=と大下貴恵さん(34)=兵庫県宝塚市=が着物姿で酒だるの上に乗り、羽根突きをした。
 しばらくすると締め込み姿の男衆が登場。周囲を駆け回りながら、「ヘグラ」と呼ばれるすすを沿道の見物客の顔に塗りたくった。男衆たちはさらに、わら玉を奪い合って投げたり、綱引きをしたりして盛り上げ、見物客から大きな歓声が上がった。
 最後はわらで作った長さ約3メートル、重さ約300キロの大草履の上に、捕まえた女性を次々と乗せ、「わっしょいわっしょい」と叫びながら担ぎ上げた。祭りをつかさどる「御幣持ち」の山内清一さん(39)は「ヘトマトで地域のつながりが深まる。最高のにぎわいだった」と話した。

女性を乗せた大草履を担ぎ上げる締め込み姿の男衆=五島市下崎山町
締め込み姿の男衆にすすを塗られる見物客