大島造船所が開所式 香焼工場で洋上風力の参入目指す 「新たなステージへ発展」 長崎

2024/04/24 [12:30] 公開

大島造船所の下で船舶建造が本格化した香焼工場=長崎市(昨年1月撮影、同社提供)

 大島造船所(長崎県西海市)は23日、三菱重工業から2022年に譲渡された香焼工場(長崎市香焼町)の生産が軌道に乗ったとして、同市内のホテルで開所式を開いた。平賀英一社長は同工場の新たな活用策として、浮体式洋上風力発電建造事業への参入を目指すことを明らかにした。
 平賀氏は、香焼工場内の国内最大級の建造ドックが風車タービンを支えるフローター(浮体)部分の建造に「大変威力を発揮する」とした。
 本社・大島工場での多数隻高速建造と、艤装(ぎそう)期間の長い環境配慮型船建造の2事業を両立させるために「香焼工場が必要欠くべからざるものになる」と強調。低炭素化に向け液化天然ガス(LNG)を燃料とする次世代船について「燃料タンク製造という新しいチャレンジも香焼があってこそ可能になる」とした。
 同社によると、1日現在の社員数は1625人。香焼工場譲渡を受け、この1年で約100人を新規採用した。香焼工場勤務は協力会社従業員を含め約700人。
 大島工場は10万トン~3万トン級のバルクキャリアー(ばら積み貨物船)を得意とし、23年度は37隻を建造した。香焼工場では当面、年間3~4隻を担う計画。昨年7月から1番船となる6万4000トン型の建造を開始し、今年7月に引き渡し予定。浮桟橋なども製作していく。

鏡開きをする平賀社長(左から2人目)ら=長崎市伊王島町1丁目、アイランドナガサキ

 開所式には住友商事などの株主をはじめ、取引先や自治会などの約250人が出席。平賀氏は「輝かしい歴史ある香焼工場を引き継ぎ、新たなステージに発展させる」と述べ、大石賢吾知事や鈴木史朗市長らと鏡開きをして祝った。南宣之(のぶゆき)会長は「大島造船所は地域の方々に支えられて成り立っている。香焼の地でも『地域と共に』のスローガンでやっていきたい」と乾杯の音頭を取った。
 香焼工場は大島造船所が21年3月に三菱からの譲渡契約を締結し、22年12月に引き渡しを完了していた。