18歳と22歳の個人情報 長崎県内、18市町が自衛隊へ提供 国の見解受けて増加傾向

2024/04/24 [11:00] 公開

県内21市町の自衛官募集対象者の情報提供の状況

 自衛官募集に関する自衛隊からの求めに応じ、住民基本台帳に記載された18歳と22歳の個人情報を本年度に提供する長崎県内自治体は、21市町中18市町に上ることが23日までに、分かった。2020年の本紙調査では10市町だったが全体の8割以上に増えた。近年、国が「法令上問題ない」とする見解を示したことも影響。一方、提供を望まない人の除外申請制度を設ける自治体は8市町にとどまる。
 18市町のうち長崎市は氏名と住所を記した宛名ラベルを提供。他の17市町は対象者の名簿を抽出して印刷した紙を提供または貸与する。氏名と住所の他、生年月日、性別を記載する市町が多い。残りの松浦市、東彼東彼杵町、同波佐見町は自衛隊職員が住民基本台帳を閲覧し、転記する形で対応する。
 自衛官募集対象者の個人情報を巡っては、自衛隊法施行令で防衛相が首長に「必要な報告または資料の提出を求めることができる」と規定する一方、住民基本台帳法には提供の法的根拠が明記されておらず、自治体によって対応が分かれる。こうした中、21年2月に防衛省と総務省が、住基台帳の一部の写しを提供することについて「同法上特段の問題を生じない」と通知。防衛省によると、全国の自治体の対応状況は19年度は閲覧が851自治体、提供が719自治体だったが、22年度には閲覧534、提供1068に逆転している。
 県内でも平戸市などが21年度以降に閲覧から紙での提供に切り替えた。転記ミスの防止や閲覧に立ち会う職員の負担軽減を理由に挙げる市町もあった。
 昨年4月には個人情報保護法が地方自治体の個人情報取り扱いに適用されたのに伴い、国の個人情報保護委員会が、自衛官募集に関わる個人情報の提供は「法令に基づく」との見解を示した。これを受け本年度から新たに、長崎市、大村市、東彼川棚町、北松佐々町が閲覧から情報提供に移行する。
 情報提供の除外申請は、佐世保市は昨年度から、長崎市など7市町は本年度から導入。申請方法や期間は自治体によって異なる。新上五島町、北松小値賀町は「本人の希望があれば除外する」としている。