鄭成功の分霊廟 リニューアル 生家跡に移転、関係者ら完成祝う 長崎・平戸 

2024/04/23 [10:55] 公開

リニューアルした鄭成功文霊廟前でテープカットする関係者ら=平戸市川内町

 長崎県平戸生まれで東アジアの英雄といわれる、鄭成功(1624~62年)をまつる分霊廟(れいびょう)が同市川内町の鄭成功記念館(鄭成功生家跡)敷地内に移転リニューアルした。現地で14日、記念式典などが開かれ、参加した関係者ら約300人が祝った。
 鄭成功は中国明代の政治家で軍人。明が衰退し清が台頭した動乱期に「抗清復明」をかかげて活躍した後、オランダの支配下にあった台湾を解放した。日本では近松門左衛門の戯曲「国性爺(こくせんや)合戦」のモデルとして知られる。川内町で中国人の父と日本人の母の間に生まれたことから、平戸と台湾との間では相互訪問による交流が続いている。
 分霊廟のリニューアルは市を中心に展開する生誕400周年記念事業の第1弾。移転前の廟は没後300年の1962年、台湾から分霊された際に同町の丸山公園に建てられたが、近年は老朽化。市が2023年度から同記念館付近に建て替える計画を進めていた。新しい廟は鉄筋コンクリート平屋建て9.61平方メートル。総事業費は約1800万円。
 14日は、地元の子どもたちによる媽祖(まそ)行列が、丸山公園から同記念館前までの約500メートルを鄭成功の像とともに練り歩いた。鄭成功に扮(ふん)した市立中野中2年の村山慎治さん(13)は「自分たちの住む地域から英雄が出たのは誇らしい。威厳を示すように胸を張って歩いた」と話した。

分霊廟のリニューアルイベントでジャンガラを披露する子どもたち=平戸市川内町

 式典では神事の後、黒田成彦市長が「国際交流はもちろん、周遊観光の核として、これまで以上に(分霊廟の)活用を図っていきたい」とあいさつ。記念館前に設けられたステージでは、祝舞や子どもたちによる国指定重要無形民俗文化財「平戸のジャンガラ」などが披露された。川内港から船を出し、海岸の鄭成功児誕石(じたんせき)を見学するクルージングも多くの人を集めた。