米国連大使「原爆、二度と使ってはならない」 長崎初訪問、原爆資料館を視察

2024/04/20 [11:05] 公開

長崎原爆資料館を視察するトーマスグリーンフィールド米国連大使(左から6人目)=19日午後、長崎市平野町(同市提供)

 訪日中のトーマスグリーンフィールド米国連大使は19日、被爆地長崎を訪れ、長崎市平野町の長崎原爆資料館を視察した。被爆者らの案内で展示室を巡り、同館の芳名録に記帳。記者団を前に「資料館の展示を見ると、いかに原子爆弾が壊滅的な影響をもたらしたかをまざまざと感じた。原子爆弾は決して二度と使ってはならないとの気持ちを新たにした」と述べた。
 米国連大使の長崎訪問は初めて。トーマスグリーンフィールド氏はバイデン政権で閣僚級。米国の閣僚級が同資料館を視察するのも初めてという。このほか大使は平和公園(松山町)で献花したほか、長崎大の学生らと核問題などをテーマに意見交換した。
 展示室の視察は非公開。大使は被爆者の朝長万左男氏(80)や井上琢治館長らの案内で約25分間見学した。
 大使はバイデン政権を代表し「私たちがより平和な未来を築いていけるよう、過去の悲劇を保存してくれた資料館と長崎の皆さまに感謝する」と芳名録に記帳した。記者団を前に「核戦争に勝者はいない」と強調。「私たちは世界のあらゆる場所で、核兵器の拡散を阻止し続けなければならない」「長崎が核兵器の恐怖を体験する最後の場所となるよう、努力しなければならない」などとスピーチした。質疑には応じなかった。
 朝長氏は記者団の電話取材に「原爆の放射線の影響が生涯にわたり続くことに(国連大使は)驚いていた」と明かし、「閣僚級が初めて訪れたということは、『長崎を最後の被爆地に』というスローガンを、真剣に考えているのではないか」と話した。
 国連大使と意見交換した長崎大多文化社会学部1年の女子学生(18)は取材に「世界のトップレベルの人が、『長崎を最後の被爆地に』と願ってくれたのは、未来の平和が前向きに進む一歩になる」と話した。