「露骨な組合員切り」長崎・アマゾン配達員、契約解除 真面目に働いてきたのに…

2024/04/09 [10:30] 公開

最後の1日も大量の荷物を運んだ男性。「無念さはあるが、組合を結成し、正しいことを主張できた。悔いはない」と話した=長崎市内

 インターネット通販大手アマゾンジャパン(東京)の荷物を長崎・諫早エリアで運ぶフリーランス(個人事業主)の配達員ら十数人が8日、契約を解除された。労働環境改善を求めて労働組合を結成し、ストライキも決行した50代の男性配達員は「露骨な組合員切りだ」と無念の表情を見せた。

 時折雨がぱらつく8日の長崎市内。男性は「amazon」と書かれた段ボール箱を黙々と届け続けた。「雨の日は置き配の荷物にビニールをかぶせなきゃいけない」と苦笑い。一日で計188個の荷物を夜9時前に配り終えた。
 男性は労働組合、東京ユニオンのアマゾン配達員組合長崎支部を、2022年9月に仲間と結成。役員として活動してきた。
 男性らアマゾンの商品を扱うフリーの配達員が契約する2次下請け企業(埼玉県川口市)に対し、1次下請け企業(横浜市)が、アマゾン商品配達の委託契約を4月8日で打ち切ると通告してきたのは、昨年12月のことだった。
 撤回を求めて1次下請けに団体交渉を申し入れたが拒否され、苦渋の決断で3月8日にストライキ。さらに1次下請けによる不当労働行為の救済を東京都労働委員会に申し立てるなど手を尽くした。それでも何も変わらなかった。
 男性は契約解除について「複合的な要素が重なったと思う」としながらも労組結成が大きな要因と感じている。労組に入らなかった配達員の多くは別の2次下請け企業に移籍を持ちかけられたが、組合員には声がかからなかった。
 男性は「無念さはある」とつぶやく。「ただ、間違ったことを『おかしい』と指摘してきたことに悔いはない。事故もなく、真面目に働いてきた自分や仲間たちが首を切られ、世間ではドライバー不足なのに移籍もできない。こんな露骨な組合員切りがあったことを知ってほしい」と言葉に力を込めた。
 男性によると、ストライキを実施した組合員ら約20人のうち、半数程度が8日までに転職。男性を含めた数人が契約解除となった。