長崎大発ベンチャー、SCMバイオメディカ設立 革新的がん治療目指す

2024/03/15 [10:30] 公開

事業展開などについて説明する田中教授(右)=長崎大文教キャンパス

 治療効果が高く副作用が少ない革新的ながん免疫療法(治療薬)の実用化を目指す長崎大発のベンチャー企業、SCMバイオメディカ(長崎県長崎市)が設立された。2026年からの長崎大学病院(同)での治験を目指す。研究には巨額の資金が必要で起業で調達しやすくなるメリットがある。永安武学長が14日、同社代表取締役の田中義正教授に称号を授与した。
 同大先端創薬イノベーションセンター長を務める田中教授の研究グループがこれまでに開発したSCM療法は、既存の免疫療法よりがんの奏功率(薬物療法の効果があった割合)が高く、副作用が少ないのが特徴。今後のがん治療の大きな転換点となり得る革新的な免疫療法という。
 ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑(ほんじょたすく)氏が開発に貢献したがん治療薬「オプジーボ」は免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれ、田中教授は本庶氏や京都大の湊長博総長らとともにこの研究に携わっていた。
 これまでにマウスを使った大腸がんの実験で、既存の免疫療法では100日後の生存率は約50%だったが、SCM療法では全頭生存していたという。
 田中教授はSCM療法について「35年くらい研究してきた中で最も手応えがあり、起業することにした。がん患者さんは、副作用がある治療法に対して恐怖感があると思う。治療効果が非常に高く、副作用がほとんどない治療法を開発したい」と述べた。