稲佐山公園・動物ひろば 飼育動物の数減らず、廃止時期「見通せない」 長崎市議会

2024/03/01 [11:20] 公開

 長崎市は29日、約20年前に廃止方針を決めた稲佐山公園「動物ひろば」について、飼育するサルとシカの数が想定通りに減らず、今なお廃止時期を見通せないと明らかにした。市内には専門の獣医師がいないため「けがなどの適切な治療が困難」とし、飼育環境も悪化している。
 定例市議会一般質問で、森恭平議員(ながさきミライ)の質問に答えた。
 市は1990年、動物観察や餌やりを体験できる「猿舎」と「鹿放牧場」を整備。しかし地域住民や有識者でつくる「動物ひろば検討協議会」は2004年、動物の種類が少なく場所も分かりにくいとして廃止を市に提言した。
 市は廃止に向けて飼育数を減らそうと不妊手術などを行ったが効果が上がらず、現時点でシカ72匹、サル21匹。05年度末と比べるとシカは10匹、サルは1匹しか減っていない。
 森議員はそれぞれの平均寿命を踏まえ、今後30年程度は飼育が必要になる可能性を指摘。松浦文昭土木部長は、減少策の成果が出ていない原因を今後専門的に検証する一方で「動物が生きている間は健康に過ごせる環境づくりにも取り組む」と述べた。