ミャンマーに長崎県戦没者の慰霊碑 県内の友好協会が建立 「遺族の心のよりどころに」

2023/11/26 [12:02] 公開

ミャンマーで亡くなった本県出身者を悼むため建立された戦没者慰霊碑=ヤンゴンの日本人墓地(宅島会長提供)

 ミャンマーの最大都市ヤンゴンの日本人墓地で、第2次大戦で亡くなった長崎県戦没者8509柱の慰霊碑が除幕された。ミャンマーとの友好を深め人材交流を図ろうと県内の有識者らでつくる長崎ミャンマー友好協会(宅島壽雄会長、9人)が建立した。
 碑は高さ約1.5メートル、幅約2メートル。御影石の表側に「世界平和を祈る」の文字を刻み、裏に「現在の日本人の暮らしは、兵士たちの尊い犠牲の上にある」という鎮魂の思いが彫られている。12日にあった除幕式には協会員ら8人が参加。現地の僧侶5人が読経した後、参加者が手を合わせて戦没者を供養した。
 大戦中、日本軍は当時の英領ビルマを占領。インド北東部インパールにあった英国軍の拠点を攻略しようと、山岳地帯を行軍する「インパール作戦」を決行したが、食料や武器弾薬の不備などで3万人超の死者を出した。
 2019年、宅島会長は、大戦中に現地で亡くなった叔父、申治さんの慰霊碑を同墓地に建てた際、本県戦没者の碑がないことに気付いた。このため友好協会が県護国神社(長崎市)に収められている「ビルマ戦争戦没者名簿」を参考に本県の慰霊碑建立を思い立ったという。
 宅島会長は「戦没者は飢えに苦しみながら亡くなり遺骨もない。碑が遺族の心のよりどころになれば」と話した。