遠浅の白い砂浜と青い海が輝く、新上五島町七目郷の蛤浜海水浴場。今年の夏も多くの海水浴客でにぎわっている。緑の松林に囲まれた美しい景観は、町民から「上五島の宝」と呼ばれている。島外の人にもっと知ってほしいと、ここで生まれ育った記者が、その魅力を紹介する。
◆はまぐり
有川港から約2キロに位置し車で約5分、徒歩でも約20分という恵まれた立地。周辺には商業施設もある。
ほとんどの町民は「はまぐり」と呼び、蛤浜海水浴場と最後まで言わない。初めて訪れたなら「“はまぐり”はどこですか」と聞いてみるとよい。きっと道案内をしてもらえるだろう。
海水の透明度は抜群で小さな魚が泳ぐ姿が見える。淡いブルーが徐々に深まり、美しいグラデーションを描く。県の水質検査では今年、6年連続で、5段階判定の最高位「AA」と評価され、環境省が選定した「日本の快水浴場百選」にも選ばれている。
町によると、なだらかな遠浅のため、引き潮時に現れる砂浜は、岸に沿って約400メートル、沖に向けて200メートル近い幅となる。長崎市のビッグNスタジアム約2個分に当たる。
強く波立つことが少なく、台風前後など、よほど強風の日でない限り、過去に強い離岸流が発生したという情報はない。水難による死亡事故も約30年以上発生していないという。
砂浜や水深が浅い場所が広いので幼い子どもでも安心。地元の子どもたちの海デビューの定番だ。
◆愛犬OK
記者は長崎市内の海水浴場で「犬はだめ」と止められた経験がある。だが、町によると、蛤浜はOK。基本的なマナーさえ守れば愛犬と一緒に泳ぎ、砂浜を走り回ることができる。写真映えもよく、愛犬家には魅力だろう。
西彼時津町から家族や友人らと訪れていた町立時津北小6年、山本楓さん(11)は、記者が連れていた愛犬と一緒に泳いで遊んだ。「犬と泳ぐのは初めて。海が浅くて泳ぎやすいし、すごくきれい。楽しい」と笑顔で話した。
◆漂着ごみ
蛤浜にも漂着ごみ問題はあるが、年間を通して清掃に励むボランティア団体「蛤浜会」(亀谷謙一郎代表)ら町民の支えが大きい。「ただ拾うだけ」と話す亀谷代表。みんなが愛する蛤浜だからこそ、美観が保たれていることを最後に付け加えたい。
6年連続で水質最高位評価 新上五島町「蛤浜海水浴場」 子どもも愛犬も安心の海デビューを【ルポ】
2023/08/12 [12:00] 公開