物価上昇 賃金減少 家計に厳しい県都・長崎 

2018/11/14 [00:15] 公開

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 ここ最近、長崎市は全国に比べ物価が大きく上昇しているのに、賃金は前年割れ-。日銀長崎支店の動向分析で県都のこんな厳しい事情が浮き彫りになった。家賃相場が上昇し、パート労働者の比率が高まっているという。

 総務省発表の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇幅で見ると、県庁所在地のうち長崎市は8月が前年同月比2%上昇で1位となり、全国平均の0・9%上昇と比べても高水準。9月も同1・8%上昇で甲府市に次いで2位だった。

 全国は原油高に伴うガソリンや電気代の上昇が押し上げ要因だが、長崎市はそれより家賃、特にファミリー層向け賃貸住宅3LDK~4DKの伸びが顕著。県全体の物価はそれほど上昇しておらず、日銀長崎支店は、長崎市では斜面地から中心部への住み替え需要が高まり、分譲が多く賃貸が少ないといった特殊要因が背景にあるとみている。

 一方、厚生労働省・県の毎月勤労統計調査などによると、全国の雇用者所得(従業員5人以上の事業所)は一貫して増加傾向だが、長崎県は今年に入り前年比マイナス基調で推移。2月から6カ月連続で4・8~0・1%の下げ幅となった。

 同支店は、地元企業が新卒採用に苦戦しているほか、卸・小売業や宿泊・飲食サービスでフルタイム労働者が減っている点に着目。人手不足をパートで補完する動きが続いているため、1人当たりの賃金も減少している可能性を指摘する。

 平家達史支店長は先行きについて「長崎市の物価上昇率はしばらく高めで推移しそう。ただ全国は賃金が物価に先行または同時に上昇するのに対し、長崎県は遅れて上昇する傾向がある」として動向を注視する。