「苦しいことも記録してくれたからこそ、伝えられる」と語る大塚さん=国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

「苦しいことも記録してくれたからこそ、伝えられる」と語る大塚さん=国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

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被爆・戦後75年 声に願い込め 朗読・永遠の会(5) 【決意】永遠の会・大塚久子代表 インタビュー 小さな一歩 踏み出す

2020/08/08 掲載

「苦しいことも記録してくれたからこそ、伝えられる」と語る大塚さん=国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

「苦しいことも記録してくれたからこそ、伝えられる」と語る大塚さん=国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

【決意】永遠の会・大塚久子代表 インタビュー 小さな一歩 踏み出す

 被爆体験の朗読を通じて、平和、命の尊さを語り継いでいる「被爆体験を語り継ぐ 永遠(とわ)の会」。代表の大塚久子さん(62)に、活動の思いなどを聞いた。

 -朗読にどのような願いを込めているか。
 被爆者の思いに寄り添えるよう心掛けている。私たちが追体験するように、その人が見たであろう景色やその場の空気感、においなどを少しでも伝えたい。小さい子どもが一生懸命書いてくれた手記もあり、ありがとうという気持ちで胸がいっぱいになる。苦しいことも記録してくれたからこそ、伝えられる。

 -朗読会で印象に残っていることは。
 県外での朗読会で「将来は永遠の会に入りたい」と感想を寄せてくれた子がいた。継承活動について身近に感じてもらえたのかなとうれしくなった。常駐朗読では、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館を訪れた被爆者の遺族に黒本を紹介し、亡くなった家族の体験記を一緒に探すこともある。その内容や直筆の文字を通して故人を懐かしみ、涙を流す人もいて、その姿に胸が熱くなる。

 -新型コロナウイルスの影響は。
 コロナ禍で活動が休止になるなど制約が多かったが、会員向けに毎月「永遠の会通信」を発行するなど、できることをやろうと取り組んできた。長らく休止していた祈念館での常駐朗読も今月、再開する。直に伝える大切さや力を再確認し、新しい気持ちで朗読と向き合えている。

 -平和について若い世代に考えてほしいことは。
 若い世代だけということではなく、どんな世代でも一緒に考えてほしい。みんなで力を出し合えたら、すべての世代につながっていくのでは。継承の在り方について、楽しく補い合って考えていきたい。

 -平和活動をどう始めたらいいか悩んでいる人へ伝えたいことは。
 最初の一歩はどんなに小さくてもいいと思う。そこからが始まり。平和を考える時間を家族でつくるとか、自分が心を平和に保って毎日を過ごすということだけでも、平和につながる。私も、被爆2世でもない自分に何ができるだろうと不安もあったが、一歩を踏み出せた。今活動している私たちが、敷居を高くしないことも大切だと思う。