長大レクナ NPT 第3回準備委報告 1

NPT再検討会議第3回準備委の開会を控えた国連本部=26日、米ニューヨーク(RECNA撮影)

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長大レクナ NPT 第3回準備委報告 1 四つの注目点
「核」めぐり各国綱引き

2014/04/29 掲載

長大レクナ NPT 第3回準備委報告 1

NPT再検討会議第3回準備委の開会を控えた国連本部=26日、米ニューヨーク(RECNA撮影)

四つの注目点
「核」めぐり各国綱引き

約190カ国が加盟する核拡散防止条約(NPT)の再検討会議は、核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用の3本柱について話し合う重要な場。28日開幕の第3回準備委では2015年の再検討会議の方向性を定めることになる。「核」をめぐり核兵器国、非核国、核の傘依存国が、それぞれ国家の利害の程度を勘案しながら綱引きを繰り返すとみられる。
長崎新聞は、昨年に続き長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)と連携。準備委期間中、RECNAの梅林宏道、鈴木達治郎、広瀬訓、中村桂子各氏が協働して作成する「日報」を随時再構成し、紙面で論議の経過や論点を伝える。

今回の準備委は、15年の再検討会議に対し、議事内容や運営に関する報告書と勧告を提出する任務がある。注目点を整理した。
(1)核兵器使用の人道的結末
10年の再検討会議では、核兵器の使用で発生する「人道的結末」について初めて合意文書で言及する成果を得た。核兵器の非人道性への言及だ。これを踏まえ12、13年の準備委、国連総会第1委員会では有志国家の共同声明が出された。
またノルウェー、メキシコでは「核兵器の非人道性に関する国際会議」が開かれ、オーストリアは年内に第3回会議を開催すると表明。メキシコ会議議長は核兵器に関し「これまでの繰り返しではなく法的拘束力のある条約交渉を開始すべき時が来ている」という趣旨の発言をした。一方、日本政府などはこの方向性に反対している。これらの会議を主催した国や、共同声明提案国のスイス、南アフリカ、ニュージーランドなどの主導性が注目される。
(2)核兵器禁止条約
10年の再検討会議のもう一つの成果は、核兵器のない世界を達成するには法的枠組みが必要であることを文書で確認し、核兵器禁止条約や、核兵器禁止に関する「別々の条約の枠組み」というアイデアに初めて言及したこと。その後、簡易型の核兵器禁止条約の提案も出てきた。新アジェンダ連合(アイルランドなど6カ国)は「全てのアイデアを議論することがNPT第6条履行の義務」とする文書を準備委に提出済み。展開を注視したい。
(3)核兵器国の報告義務
米ロ英仏中の核兵器国は、▽未配備の核兵器も削減▽海外配備の核兵器への対処▽軍事・外交における核兵器の役割低減▽透明性向上-などの履行状況を、今回の準備委で報告する義務を負っている。報告内容によっては非核国から強い反発が出る可能性もある。
(4)中東決議の行き詰まり
10年の再検討会議では、中東非核・非大量破壊兵器地帯設置のため中東の全関係国が参加する会議を12年中に開くことになったが実現しなかった。このため前回準備委では、エジプトが経過を不満とし後半の会議をボイコット。今回、事態がどう動くか波乱含みだ。
この他、日本がリードする「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」などの動向にも注目したい。

詳細はRECNAホームページ(http://www.recna.nagasaki-u.ac.jp/)の「NPT BLOG」参照。