伝言 被爆地から 8(完)

「被爆者の思いをしっかり伝えてほしい」と話す深堀さん=長崎原爆資料館

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伝言 被爆地から 8(完) 長崎平和推進協会写真資料調査部会部会長 深堀好敏さん(81)
世界に思い伝えて

2010/04/27 掲載

伝言 被爆地から 8(完)

「被爆者の思いをしっかり伝えてほしい」と話す深堀さん=長崎原爆資料館

長崎平和推進協会写真資料調査部会部会長 深堀好敏さん(81)
世界に思い伝えて

両親は自宅のある山里町(現・平野町)から郊外に疎開。学徒動員に行かなければならなかった私と弟、面倒をみるために残った姉が山王神社近くのおじの家に身を寄せた。

あの日、私は動員先の県疎開事務所(中川町)で被爆した。家に帰るため金比羅山を越えようとしたが、けがをした人たちが次々にやってきて「向こうには下りられない」と言われた。

倒壊したおじの家に着いたのは翌日。家の下敷きになって亡くなった姉とおじを見つけた。姉の周辺には、はい出ようとしたような跡があった。あの時は本当にひどい状況だった。弟とは生きて再会できた。

語り部をしていたが「話だけで本当に(原爆の恐ろしさが)通じるのだろうか」との思いで1979年に「長崎の被爆写真調査会」(現・長崎平和推進協会写真資料調査部会)を立ち上げた。

オバマ米大統領の登場や米ロの核軍縮など現在、核廃絶に向けた機運は高まっている。しかし、世界の人たちはまだまだ原爆の実相を知らない。被爆者が減っていく中で、今回渡米する人たちには、世界に対して被爆者の思いをしっかり伝えてほしい。