伝えたい
 =戦後世代の「被爆」継承= 2

被爆者と平和案内人の交流から生まれた「朗読グループ」。模索が続いている=長崎市平野町、市平和会館

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伝えたい =戦後世代の「被爆」継承= 2 被爆体験聞き思い共有 朗読など新たな活動も

2007/08/03 掲載

伝えたい
 =戦後世代の「被爆」継承= 2

被爆者と平和案内人の交流から生まれた「朗読グループ」。模索が続いている=長崎市平野町、市平和会館

被爆体験聞き思い共有 朗読など新たな活動も

「私たちが線路を敷けば、あとは走ってくれる」。長崎平和推進協会の継承部会員で被爆体験の語り部、渡邉司さん(75)は四月、平和案内人に被爆者の思いを受け継いでもらおうと、継承部会員と平和案内人の計約十五人で「朗読グループ」をつくった。

朗読するのは、被爆者の思いが込められた体験談や詩。これまで五回集まり、発声練習や感情の表し方、朗読の作品選びなどで試行錯誤を重ねている。十月ごろ、成果を一般公開する予定。被爆遺構などの案内にとどまらず、独自の活動に踏み出している。

被爆者が書き残した体験を朗読することは「確実な継承の方法」と渡邉さん。事実だけでなく、「被爆者の思い」も伝えられると考える。

七月二十日の集まり。「原爆を題材にした絵本の原画をパソコンで取り込み、絵をスクリーンに映しながら朗読したい」。平和案内人からは、視覚的にも訴えるなど新しいアイデアが尽きない。「継承の方法を考えて、次世代に教えるのも私たちの役目」

さらにもう一つ、新たな継承への取り組みが始まった。平和案内人の有志でつくる「九日の会」は五月末、被爆者が作った紙芝居を使った「出前講座」を初めて市内の中学校で開いた。

被爆者の吉田勝二さん(75)の被爆体験を描いた紙芝居を、被爆者ではない案内人の白鳥純子さん(58)が朗読する。実際の写真資料なども示しながら、原爆投下当時の様子を語る。

出前講座は「いずれは被爆者抜きで」と白鳥さん。「被爆の実相を伝える取り組みを被爆者に頼ってばかりでは、活動は鈍る一方。私たちの活動を見て、普通の市民にも平和活動ができることを知ってほしい」。吉田さんはそんな案内人に「必ずわれわれの後を継いでくれる。被爆体験を少しでも多く、正確に次の世代に伝えてほしい」と信頼を寄せる。

より正確な被爆体験を、思いを込めながら、さまざまな方法で-。平和案内人への期待は大きい。九日の会の田中安次郎代表(64)は言う。「まず私たちが機会あるごとに被爆者講話を聞き、体験記を読む。そして“心の被爆者”として原爆を伝えたい。私たちは、被爆者から次の世代へ平和のバトンをつなぐ存在だと思っている」