核なき世紀を語る
 =地球市民集会ナガサキを前に= 3

「平和行政と市民が一体となった長崎の取り組みを広島も見習うべき」と語る森滝春子さん=広島市内

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核なき世紀を語る =地球市民集会ナガサキを前に= 3 NGOの取り組み コーディネーター 森滝 春子さん(64)
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表 ◆平和市長会議と結束

2003/11/16 掲載

核なき世紀を語る
 =地球市民集会ナガサキを前に= 3

「平和行政と市民が一体となった長崎の取り組みを広島も見習うべき」と語る森滝春子さん=広島市内

NGOの取り組み コーディネーター 森滝 春子さん(64)
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表 ◆平和市長会議と結束

米国は二〇〇二年一月に「核体制の見直し」(NPR)を発表して以来、核政策の強化を図っている。核拡散防止条約(NPT)は死文化したも同然。この状況に、非政府組織(NGO)の間にも絶望感が広がっている。だからこそ、分科会を核兵器廃絶に向けた具体的な方向性をつくる機会にしたい。

ブッシュ政権の核政策は危険極まりなく、現在の米国の一方的な流れを許すわけにはいかない。NPTは五カ国だけに核保有を許すなど不平等条約ではあるが、核廃絶に向けた取り組みという点では評価できる。

二〇〇〇年五月のNPT再検討会議で、核廃絶への明確な約束がなされたことは、戦後の核廃絶に向けた取り組みの一つの到達点だった。日本政府がこの約束に対する取り組み事項を採点しようと、国内の反核NGOのメンバーらが「核軍縮・日本の成績表」評価委員会を結成、政府に圧力をかけている。分科会をきっかけに、今度は世界に向け、約束を守ることを呼び掛ける団体を立ち上げたいと考えている。

今年四月、ジュネーブで開かれた〇五年NPT再検討会議の準備委員会で、広島市の秋葉忠利市長が平和市長会議と世界のNGOとの結束を呼び掛けた。それを受け、平和市長会議をNGOが押し支える形で協力しようとする動きが出てきている。来年四月には、米ニューヨークで開かれる準備委に合わせ、平和市長会議の加盟都市やNGOのメンバーが集結することにしている。

ニューヨークでは、核廃絶に向けた具体的な取り組みを提案しようとしている。分科会でその方針や内容について話し合い、結果を大きな流れとしてNPT再検討会議に圧力をかけられればと思っている。

核体制の見直し(NPR) 米国が2002年1月に発表した核戦略の指針となる報告書。核抑止を主体とした国防戦略を転換し、戦略核を含む攻撃能力の確保やミサイル防衛などの防衛システムの強化、テロや「ならず者国家」など新たな脅威への対処を国防の三本柱とした。核実験の実施に向けた準備期間の短縮も求めている。