核なき世紀を語る
 =地球市民集会ナガサキを前に= 2

「非核兵器地帯創設が最終目標」と語る田崎昇さん=長崎市平野町、長崎原爆資料館

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核なき世紀を語る =地球市民集会ナガサキを前に= 2 非核宣言自治体フォーラムコーディネーター 田崎 昇さん(59)
前長崎市平和推進室長 ◆真価問われる「宣言」

2003/11/15 掲載

核なき世紀を語る
 =地球市民集会ナガサキを前に= 2

「非核兵器地帯創設が最終目標」と語る田崎昇さん=長崎市平野町、長崎原爆資料館

非核宣言自治体フォーラムコーディネーター 田崎 昇さん(59)
前長崎市平和推進室長 ◆真価問われる「宣言」

自治体の非核宣言は英国マンチェスター市が発祥の地といわれている。冷戦時代の一九七九年、米国がヨーロッパに中距離核ミサイルの配備を計画。米ソの緊張が一層高まる中、マ市が自治体として核兵器反対の意思表示をしたのがきっかけだった。

その後、非核宣言運動はヨーロッパをはじめ、世界各地に普及していった。八二年には第二回国連軍縮特別総会(SSD2)も開催され、世界的な反核運動の盛り上がりの中で、国内にも急速に広がり、今では全自治体の八割を超える約二千六百の地方自治体が非核宣言都市となった。

だが、現在の活動そのものは全体的に下火、つまり停滞していると言わざるを得ない。数は増えたが、中身を伴っていないのが現状だ。被爆国でありながら核兵器の脅威に対する意識や関心が薄いのかもしれない。

小型核あるいは「使える核兵器」使用の危険性が高まるなど、世界が新たな危機を迎えている中、果たして日本の宣言運動は住民中心の根に付いた反核運動になり得たのか、あらためて見詰め直す必要がある。

核戦争が起きれば、真っ先に被害を受けるのは住民。これは現在、過去の戦争から明らかだ。その住民に最も密接な地方自治体が平和のために担う役割は大きい。

フォーラムでは、英国非核自治体協会や非核自治体全国草の根ネットワークから代表を招き、非核宣言自治体間の交流による活動の活性化策を考える。さらに、国内外の非政府組織(NGO)との連携により核兵器廃絶、あるいは非核兵器地帯創設へのステップアップを図るため、住民とともに具体的な方策を探りたい。

非核宣言自治体 「非核3原則」の堅持や核兵器廃絶などを求める立場を議決や宣言で表明した自治体。国内第1号は1958年の愛知県半田市。本県は99年、全自治体での宣言を達成した。84年には日本非核宣言自治体協議会が結成されたが、加入率は全体の1割程度にとどまっている。市町村合併の影響で宣言自治体の減少や関心低下が懸念されている。