被爆地ナガサキの課題 4

式典の在り方について意見を交わす懇談会=長崎市平野町、長崎原爆資料館

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被爆地ナガサキの課題 4 平和祈念式典見直し
被爆者高齢化で短縮
参加学校拡大望む声も

2001/07/20 掲載

被爆地ナガサキの課題 4

式典の在り方について意見を交わす懇談会=長崎市平野町、長崎原爆資料館

平和祈念式典見直し
被爆者高齢化で短縮
参加学校拡大望む声も

「長崎原爆の日」の八月九日に長崎市が開く原爆犠牲者慰霊平和祈念式典。被爆者や遺族らが高齢化し、次世代への平和活動継承が被爆地の課題となる中、式典も見直しが迫られている。

対応策として市は五月、被爆者団体代表らをメンバーに開いた式典に関する懇談会の本年度初会合で、「(式典会場の平和公園とは別に)空調設備がある屋内施設を準備したい」と提案。炎天下、屋外での参列が体力的負担となる高齢者らのために長崎ブリックホール(同市茂里町)を開放、献花や記帳ができる用意をする方針を示した。

式典の時間短縮に向けた動きも具体化した。内田進博・市助役が上京し、衆、参両院議長側に式典出席の招聘(しょうへい)状を渡した際、恒例となっている両院議長の来賓あいさつを取りやめたい意向を伝えた。広島市も八月六日に開く原爆死没者慰霊式・平和祈念式について同じ考えを示し、「両院議長側には理解してもらった」(長崎市原爆被爆対策部)。

両院議長と首相、知事の四人合わせて計二十分と、長崎での式典時間の約三分の一を占める来賓あいさつには、以前から「参列者の体力的負担を考えれば現状を改めるべき」などの声が上がっていた。

こうした意見に対し、市は昨年の懇談会で「両院議長にはあいさつを短めにするようお願いしている」と理解を求めたが、抜本的な解決には至らず、ついに一九七〇年からの慣例だった両院議長の来賓あいさつをカットするという「かじ取り」を迫られた格好だ。

懇談会では、次世代への継承の観点から「(城山小、山里小など以外の学校に)式典参加校を広げてはどうか」との意見も聞かれる。原爆投下から五十六年がたち、市は「どういった工夫ができるのか、来年以降も模索を続けたい」と言う。二十一世紀最初となる今年の式典については、近く実施要綱が発表される。

式 典 見 直 し
近年では被爆五十周年の一九九五年、黙とうの際の打ち上げ花火の合図を廃止。昨年は被爆者や遺族、子供たちによる献花を約三十人増やしたほか、児童が唱和していた「平和への願い」を児童合唱に変更するなどした。