長崎漁港の閉鎖型荷さばき所 完成3年遅れ23年度に

2019/01/09 [00:08] 公開

 長崎県が長崎漁港(長崎市京泊3丁目)に建設中の閉鎖型荷さばき所について、完成が予定の2020年度から23年度にずれ込み、事業費も70億円から120億円程度に膨らむ見通しであることが8日、分かった。県によると、人件費や資材費高騰のほか、工法変更や追加工事の実施が影響したという。
 県水産加工流通課によると、荷さばき所は陸揚げした魚を仕分け、競りにかける施設。現在の荷さばき所は壁や仕切りがない開放型で、異物混入、鳥類の侵入、雨や直射日光による魚の劣化防止を図り衛生面を強化しようと、閉鎖型の荷さばき所を整備している。
 閉鎖型荷さばき所は県が進める「水産基盤整備事業」のメイン施設。西棟(約1万7700平方メートル)と東棟(1万1300平方メートル)を建設し、県内最大規模となる。11年度に基本設計が完成し、13年度から建築工事を開始。西棟、東棟とも既に一部供用開始しているが、当初は20年度に全面供用を開始する予定だった。
 工事の遅れは、東棟の一部の基礎が軟弱で工法を変更したことなどが要因。当初より人件費、資材費が高騰したほか、荷さばき所の仮設など追加工事が必要になり、事業費も膨らんだ。
 工事の遅れによって仲卸棟と仮設荷さばき所の距離が長くなったり、工事車両が漁港敷地内を通行する期間が長引いたりするなど現場に不都合が生じるという。
 県は水産業者の意見も踏まえ、水産基盤整備事業の一環としてシャーベット製氷施設の新設、老朽化した活魚センターの建て替えも検討。事業費の3分の2を補助する国側と協議している。
 同課は「工事が長くなってしまうことは非常に申し訳ない。機能を充実させ、鮮度の高い魚を供給する基盤をつくりたい」としている。

閉鎖型荷さばき所を建設中の長崎漁港=長崎市京泊3丁目