定額で世界各地に住み放題 1月に長崎を拠点 

2018/12/20 [00:24] 公開

 日本や世界各地のゲストハウスなどに定額で居住しながら働けるネットワークサービス「HafH(ハフ)」を長崎県出身の若者らが来年1月、長崎を拠点に始める。ビジネスや学業、アート活動など多様な人に住居を提供し、長崎から世界へ「旅をしながら働く」システムを提供する。
 サービス利用者は敷金や礼金、光熱費など込みで月8万2千円を支払えば、ハフのネットワークに登録されている宿泊先に何カ所でも泊まれる。利用は、2年以上同じ場所に居住しない人や、留学先に数カ月滞在する人などが対象。通常の観光とは異なり、ハフの契約先の中から行き先を決めることで、想定していなかった土地の魅力を知ることができるという。また契約に縛りはなく外国人などが住みやすくなる利点がある。短期宿泊プランや、インターネット環境がある仕事場だけを提供するプランもある。
 構想を掲げたのはともに長崎市内の高校を卒業した東京都在住の大瀬良亮さん(35)と砂田憲治さん(34)。筑波大の同級生の2人は10年ほど前から「長崎で何かしたい」との思いを抱いていた。大瀬良さんは仕事で海外を転々とする経験をし、パソコンとインターネット環境があればどこでも仕事ができる時代になったと実感したという。砂田さんは外国人が契約手続きなどで日本の住居を借りにくい現状に着目した。仕事や旅行などで国内外を行き来して異文化に触れる機会をつくれるようにと、2人が共同代表になって今年2月に起業した。
 拠点となる本社兼第1号店は長崎市古川町の築約50年の3階建てビルを改修。1階をカフェ、2階を仕事場、3階を宿泊場所にして1月8日オープンする。1月から長崎市茂木町のゲストハウスとともに提供を始め、4月以降に本格展開する。福岡や大阪、マレーシアなどのゲストハウスなどと契約準備中で、数年後には国内外の契約施設を100カ所以上に増やす目標。インターネット上で資金を募る「クラウドファンディング」で注目され、目標の4倍以上の820万円を超える支援金が集まっている。
 2人はハフの利用で交流人口が増え、地方のにぎわい創生にもつながると期待する。大瀬良さんは「海外とのつながりがあった長崎・出島のように、外の空気と地元の文化が混じり合った風土をつくり、長崎から発信したい」と語る。

ハフを始動させるメンバーと意見を交わす大瀬良さん(右)と砂田さん(左)=長崎市古川町