水道料金の28%値上げを提案…佐世保市水道局が来年度から、第三者委は増額幅に異論 長崎

長崎新聞 2025/06/10 [11:30] 公開

佐世保市水道局は来年度からの水道料金について、9日開いた第三者委「市上下水道事業経営検討委員会」の会合で、28%増の大幅値上げを提案した。老朽管路の更新や石木ダム建設といった水源確保の事業費を盛り込んだ投資計画を進めるためとしている。検討委は「値上げ自体はやむを得ない」とおおむね了承した。値上げ幅の妥当性については異論が出て、次回会合でさらに協議することになった。

 料金改定が議会での議決などを経て正式に決まれば2010年度以来となる。28%増の一律改定となった場合は、市内一般家庭の平均的な1カ月の水道料金4195円は1175円増の5370円となる見通し。

 委員からは「いきなり3割近く上がるのは抵抗がある」との声が上がり、委員長の横山均・県立大教授は水道局に値上げ幅を抑える工夫を次回会合までに検討するよう要請した。

 水道局は4月の前回会合で、施設の老朽化などを背景に「今後10年間で959億円、20年間では1676億円の先送りや圧縮の余地がない投資が必要となっている」と説明していた。料金改定は投資計画に基づいて導いたという。

 会合では料金改定について2案を提示した。投資額を賄うために企業債(借金)の発行を抑制気味にしながら今の世代に負担が集中する「58%増」案と、企業債を最大活用して将来世代を含めた市民負担を平準化する「28%増」案。水道局は「(施設の)一斉更新時期の到来に対して、今の世代だけで負担せず、将来世代も等しく負担するべき」「資金繰りを可能とする範囲で市民負担の最小化を図ることが妥当」と主張し、検討委は了承した。

 水道局は料金改定に際して、来年度から3年間を「見極めの期間」とし、石木ダム建設の動きなどを注視していくという。10年後には現行から2倍近くに値上げする必要があるとのシミュレーション結果も出ており「経営の転換点を見極め、準備や対応策を講じたい」としている。