長崎県内の離島で特別養護老人ホーム(特養)の存続が困難になってきた。佐世保市の宇久島で唯一の特養「啓寿園」は5月末の閉所を決め、新上五島町の特養「つばきの里」も3月末で廃止されたことが判明した。背景には人口減少が著しい離島の深刻な人手不足があるが、住民の高齢化も進んでいるため需要は少なくない。生活への影響が懸念される。
「人手不足のため併設するデイサービスやショートステイのサービスをやめて、その職員を特養に回していたが、収入が減少し経営が悪化した」。つばきの里を運営していた社会福祉法人「秀峯会」の神之浦文三理事長は廃止を決断せざるを得なかった苦しい内情を本紙に明かした。
秀峯会は1981年設立。新上五島町のほか、五島、長崎両市で特養など計7施設を運営。つばきの里は95年に設置したが、新型コロナウイルス禍の約5年前から職員確保が困難になった。廃止に際し、入所していた約20人は新上五島町内の他の施設に移ってもらったという。
ただ、同町の65歳以上の高齢化率(2024年10月)は46・7%で県全体より約12ポイント高く、神之浦理事長は「特養の需要は少なくない」。人手不足が一層進めば、高齢者福祉の維持が難しくなる可能性も否定できない。
離島では、国が定めた職員の配置基準への対応が困難になってきている実情がある。特養には原則として入所者3人に対し、介護・看護職員を1人以上配置するよう規定。ケアマネジャーなどの専門職も置くよう義務付けている。
秀峯会は特定技能の外国人を採用して介護職員を補ってきたが、「離島では有資格の看護師などが集まらない」と神之浦理事長。入所者を見守る機器を導入して省力化を進めるものの「根本的な人手不足の解消にはならない。職員の賃金を補塡(ほてん)するなど、離島でも人材が定着する行政の支援がほしい」と訴える。
社会福祉法人「福壽会」が運営する宇久島の啓寿園も入所者減少で赤字経営が続いたほか、職員確保もネックとなって閉所を決めたという。
県長寿社会課によると、県内に特養は166施設(うち離島は23施設)ある。24年度の調査では、県内事業者の約7割が介護人材の不足を感じており、長崎県の介護職員の月額給与は22万1700円で全産業平均と比べて5万7千円程度低かった。同課は「離島での人材確保は本土よりも厳しい」とみる。
県はこれまで政府への施策要望で、離島の医療・介護提供体制の充実を最重要項目の一つに挙げており、来年度に向けた要望にも盛り込む方針。介護人材の安定的な確保のため、処遇改善につながる制度の拡充を求めるとしている。
「人手不足のため併設するデイサービスやショートステイのサービスをやめて、その職員を特養に回していたが、収入が減少し経営が悪化した」。つばきの里を運営していた社会福祉法人「秀峯会」の神之浦文三理事長は廃止を決断せざるを得なかった苦しい内情を本紙に明かした。
秀峯会は1981年設立。新上五島町のほか、五島、長崎両市で特養など計7施設を運営。つばきの里は95年に設置したが、新型コロナウイルス禍の約5年前から職員確保が困難になった。廃止に際し、入所していた約20人は新上五島町内の他の施設に移ってもらったという。
ただ、同町の65歳以上の高齢化率(2024年10月)は46・7%で県全体より約12ポイント高く、神之浦理事長は「特養の需要は少なくない」。人手不足が一層進めば、高齢者福祉の維持が難しくなる可能性も否定できない。
離島では、国が定めた職員の配置基準への対応が困難になってきている実情がある。特養には原則として入所者3人に対し、介護・看護職員を1人以上配置するよう規定。ケアマネジャーなどの専門職も置くよう義務付けている。
秀峯会は特定技能の外国人を採用して介護職員を補ってきたが、「離島では有資格の看護師などが集まらない」と神之浦理事長。入所者を見守る機器を導入して省力化を進めるものの「根本的な人手不足の解消にはならない。職員の賃金を補塡(ほてん)するなど、離島でも人材が定着する行政の支援がほしい」と訴える。
社会福祉法人「福壽会」が運営する宇久島の啓寿園も入所者減少で赤字経営が続いたほか、職員確保もネックとなって閉所を決めたという。
県長寿社会課によると、県内に特養は166施設(うち離島は23施設)ある。24年度の調査では、県内事業者の約7割が介護人材の不足を感じており、長崎県の介護職員の月額給与は22万1700円で全産業平均と比べて5万7千円程度低かった。同課は「離島での人材確保は本土よりも厳しい」とみる。
県はこれまで政府への施策要望で、離島の医療・介護提供体制の充実を最重要項目の一つに挙げており、来年度に向けた要望にも盛り込む方針。介護人材の安定的な確保のため、処遇改善につながる制度の拡充を求めるとしている。

