長崎県立高56校の再編を巡り、県教委が本格的に動き出す。試算では、少子化の加速により、2040年には全体の約3分の1に当たる20校分に相当する定員減が求められる。県教委は単なる“数合わせ”ではなく、生徒数の減少や時代の変化に対応した「新たな学び」の環境整備を目指しており、方針や考え方をまとめた大綱を26年度に策定する考え。今後、住民や有識者ら各方面と議論を進めるが「学校がなくならないか」といった地域の懸念と向き合う必要もありそうだ。
■15年で4割減
「魅力ある再編に向け、計画的に着手すべき時期にきている」。昨年9月の県議会定例会で前川謙介教育長はこう述べ、再編を機械的な統廃合にしない考えを強調した。
県内の中学卒業者数は1964年の約4万9千人をピークに年々減少。厚生労働省の人口動態統計によると、2024年の本県出生数は7千人。15年後の40年に中学を卒業する生徒数は、今春卒業した1万1517人と比べると6割ほどになると見込まれている。
加えて私立高や都市部の大規模校、通信制への進学など生徒の進路の多様化が進んでおり、県立高では離島、半島地域の学校を中心に募集定員に対する入学者の充足率低下も課題。募集定員に対する本年度の入学者の割合は全日制(54校)全体で約80%だったのに対し、半島地域は67・3%、離島地域は55・5%にとどまった。
■小規模化の限界
少子化の進展に対し、県教委は01年度から10年ごとに策定する「県立高等学校改革基本方針」で対応策を定めている。01~10年度の第1期は統廃合を含めた再編整備を進め、分校を含む11校を閉校、1校を新設。11~20年度の第2期は、生徒の通学環境などを考慮して小規模校をできるだけ維持する方向性とし、学級数の削減のみで対応した。
これにより、20年間で学校数は10、学級数は114減った。全日制54校のうち1学年3学級以下の学校は11年度に17校だったのに対し、本年度は全体の半数以上を占める28校に。このうち同2学級以下の「小規模校」は全体の27・8%の15校に上っている。
高校の小規模化が進めば、選択科目や学校行事、部活動などの生徒の選択や活動が制限され、教育水準の維持が難しくなるといった弊害がある。人、物、情報といった教育資源の分散も課題。一方で時代の急速な変化により、学校で養成すべき資質や能力も以前と劇的に変わりつつある。
これらを背景に、21~30年度の第3期は「学級減のみの対応には限界がある」として統廃合を含む再編整備の検討が盛り込まれた。充足率が低い学校には入学者増を目指した議論や、地元と一体になった学校の魅力化も促している。
■再構築の機会
県教委は再編などの県立高改革を担う部長級職「教育政策監」を本年度新設。27年度の当初予算要求に間に合うよう、来年度の早い段階で大綱を示す考え。これに向け、県内の国公立中高生や保護者らに「魅力ある高校づくりに関するアンケート」を今月上旬まで実施した。9月ごろに有識者らの意見を聞く会議を立ち上げる。地元や学校との議論を1~2年ほどかけ進め、第4期(31~40年度)にかけて再編が進む見通し。
狩野博臣教育政策監は、閉校による行事や交流機会の減少などを懸念する声が地域から聞かれるとして、「慎重に進めていかなければいけない」と語る。一方で、「時代や地域の特性に応じた教育の再構築ができる絶好の機会とポジティブに捉えたい」と先を見据えた。
◎魅力向上へ…離島・半島で連携
県立高全日制の募集定員に対する入学者の充足率は年々減少傾向にあり、離島、半島部の高校は特に著しい。県教委は定員減だけでなく、入学者増に向けた議論や地元と一体になった学校の魅力化を対策として打ち出している。再編に先駆け、既に離島・半島地域で魅力向上と地域活性化に取り組んでいる学校もある。
島原市では島原、島原農業、島原工業、島原商業、島原特別支援学校の県立5校がつながる「はみ出せ島原!高校生共創プロジェクト」が進行中。昨年10月、同市で開かれた「島原城大手門市」で、生徒はステージ発表やカフェの出展などに各校の特色を生かし挑戦。5校が協力し、市民を交えた公開討論も開いた。
共創プロジェクトは再編の動きとは別に、市町の県立高と産学官が参加する県市共同の事業「高校・地域連携イキイキ活性化事業」の一環。県教委は島原市での動きに「市民に学校の活動を知ってもらい、魅力をアピールできる機会」と期待をかける。市商工振興課の担当者は「5校が近くにある特徴をもっと生かしたい」と語る。
同事業は本年度、西海、壱岐、新上五島の3市町でも展開。西海市では今年、市内3高校の中学生向けの説明会を合同で行ったり、生徒が地域課題や高校の魅力化を議論する場を開いたりした。
壱岐市は市内2高校の探究学習に力を入れ、生徒の学びに外からの視点も入れようと、地元事業者や都市部の大学など市内外との連携をサポート。新上五島町の2高校では、地域おこし協力隊がコーディネーターとして授業に入り、生徒が考えるイベントなどの企画を後押ししている。
■15年で4割減
「魅力ある再編に向け、計画的に着手すべき時期にきている」。昨年9月の県議会定例会で前川謙介教育長はこう述べ、再編を機械的な統廃合にしない考えを強調した。
県内の中学卒業者数は1964年の約4万9千人をピークに年々減少。厚生労働省の人口動態統計によると、2024年の本県出生数は7千人。15年後の40年に中学を卒業する生徒数は、今春卒業した1万1517人と比べると6割ほどになると見込まれている。
加えて私立高や都市部の大規模校、通信制への進学など生徒の進路の多様化が進んでおり、県立高では離島、半島地域の学校を中心に募集定員に対する入学者の充足率低下も課題。募集定員に対する本年度の入学者の割合は全日制(54校)全体で約80%だったのに対し、半島地域は67・3%、離島地域は55・5%にとどまった。
■小規模化の限界
少子化の進展に対し、県教委は01年度から10年ごとに策定する「県立高等学校改革基本方針」で対応策を定めている。01~10年度の第1期は統廃合を含めた再編整備を進め、分校を含む11校を閉校、1校を新設。11~20年度の第2期は、生徒の通学環境などを考慮して小規模校をできるだけ維持する方向性とし、学級数の削減のみで対応した。
これにより、20年間で学校数は10、学級数は114減った。全日制54校のうち1学年3学級以下の学校は11年度に17校だったのに対し、本年度は全体の半数以上を占める28校に。このうち同2学級以下の「小規模校」は全体の27・8%の15校に上っている。
高校の小規模化が進めば、選択科目や学校行事、部活動などの生徒の選択や活動が制限され、教育水準の維持が難しくなるといった弊害がある。人、物、情報といった教育資源の分散も課題。一方で時代の急速な変化により、学校で養成すべき資質や能力も以前と劇的に変わりつつある。
これらを背景に、21~30年度の第3期は「学級減のみの対応には限界がある」として統廃合を含む再編整備の検討が盛り込まれた。充足率が低い学校には入学者増を目指した議論や、地元と一体になった学校の魅力化も促している。
■再構築の機会
県教委は再編などの県立高改革を担う部長級職「教育政策監」を本年度新設。27年度の当初予算要求に間に合うよう、来年度の早い段階で大綱を示す考え。これに向け、県内の国公立中高生や保護者らに「魅力ある高校づくりに関するアンケート」を今月上旬まで実施した。9月ごろに有識者らの意見を聞く会議を立ち上げる。地元や学校との議論を1~2年ほどかけ進め、第4期(31~40年度)にかけて再編が進む見通し。
狩野博臣教育政策監は、閉校による行事や交流機会の減少などを懸念する声が地域から聞かれるとして、「慎重に進めていかなければいけない」と語る。一方で、「時代や地域の特性に応じた教育の再構築ができる絶好の機会とポジティブに捉えたい」と先を見据えた。
◎魅力向上へ…離島・半島で連携
県立高全日制の募集定員に対する入学者の充足率は年々減少傾向にあり、離島、半島部の高校は特に著しい。県教委は定員減だけでなく、入学者増に向けた議論や地元と一体になった学校の魅力化を対策として打ち出している。再編に先駆け、既に離島・半島地域で魅力向上と地域活性化に取り組んでいる学校もある。
島原市では島原、島原農業、島原工業、島原商業、島原特別支援学校の県立5校がつながる「はみ出せ島原!高校生共創プロジェクト」が進行中。昨年10月、同市で開かれた「島原城大手門市」で、生徒はステージ発表やカフェの出展などに各校の特色を生かし挑戦。5校が協力し、市民を交えた公開討論も開いた。
共創プロジェクトは再編の動きとは別に、市町の県立高と産学官が参加する県市共同の事業「高校・地域連携イキイキ活性化事業」の一環。県教委は島原市での動きに「市民に学校の活動を知ってもらい、魅力をアピールできる機会」と期待をかける。市商工振興課の担当者は「5校が近くにある特徴をもっと生かしたい」と語る。
同事業は本年度、西海、壱岐、新上五島の3市町でも展開。西海市では今年、市内3高校の中学生向けの説明会を合同で行ったり、生徒が地域課題や高校の魅力化を議論する場を開いたりした。
壱岐市は市内2高校の探究学習に力を入れ、生徒の学びに外からの視点も入れようと、地元事業者や都市部の大学など市内外との連携をサポート。新上五島町の2高校では、地域おこし協力隊がコーディネーターとして授業に入り、生徒が考えるイベントなどの企画を後押ししている。




