「宿泊税」長崎市が県内初導入 九州4例目 新年度予算案、5本柱で活用へ

2023/02/14 [10:00] 公開

斜面地から臨む景色を売りにした宿泊施設も多い長崎市内。市は宿泊税を活用し、観光の魅力向上を目指す

 長崎市は新年度、県内自治体で初めて、観光振興を目的とした「宿泊税」を導入する。市内宿泊施設の利用者が対象で、初年度は3億7200万円の税収を見込む。九州では福岡県と福岡、北九州両市に続き4例目、全国で9例目。関係者からは「観光名所に人が集まるよう還元してほしい」との声が上がる。
 長崎市によると、1人1泊の宿泊料が1万円未満なら100円、2万円未満は200円、2万円以上は500円を徴収する。修学旅行生や部活動の大会などに参加する児童生徒は課税を免除する。新年度の宿泊者数を221万8千人と見込み、その税収分3億7200万円を新年度当初予算の財源として振り分ける。
 「訪問客への還元」を基本方針に、▽サービス向上・消費拡大▽情報提供▽受け入れ環境整備▽資源磨き▽緊急時対応-の5本柱で活用を図る。新年度は夜間観光などの「ナイトタイムエコノミー」推進やデジタル広告でのプロモーション、観光案内所運営などの費用に充て、一部は新たに創設する「観光交流基金」に積み立てる。

「宿泊税」活用の5本柱

 田上富久市長は13日の定例会見で「新型コロナ禍でも将来の観光需要が戻ると想定し制度設計を進めてきた。宿泊税がある分(観光客が)良い印象やサービスを受けられるよう、DMO(長崎国際観光コンベンション協会)や観光事業者と連携が重要」と強調した。
 市内ホテルの宿泊担当者は周知に向け「予約の際にホームページや口頭で伝えるよう準備したい」と気を引き締める。大手旅行代理店の従業員は「欧米では既に導入されている。長崎市は日本有数の観光地で、訪日客も納得するのでは」と肯定的。「有益な情報発信に活用してほしい」と希望した。