佐世保・高島に6年ぶり商店“復活” 直売所「A-shop☆」 水産加工工場に開設

2022/09/06 [11:20] 公開

直売所「A-shop☆」で商品を紹介する重村社長(左)らスタッフ=佐世保市高島町

 長崎県佐世保市の九十九島海域に浮かぶ高島の水産加工工場内に今夏、食品や飲料、日用品をそろえた直売所がオープンした。市によると、約6年前に島で唯一の食料品店が閉店しており、商店の“復活”を島民や来島者が歓迎している。
 工場は岐阜県の測量会社「ACS」が昨秋、高島漁港に開設。地元漁師から仕入れた高級魚クエを加工して通信販売する事業を展開している。同社は重村友介社長(43)の父で、2010年に55歳で急逝した輝男さんが創業。輝男さんは高島出身で、重村社長は「父の故郷を元気にしたい」と事業進出を決めた。
 一方、約160人が暮らす高島では、人口減少で食料などを買える店がなくなり、多くの島民が本土で生活必需品を購入して自宅へ運んでいる。
 重村社長は地域貢献の一環で「買い物支援対策」を検討。工場内のスペース(約30平方メートル)に直売所を設け、ACSから「A-shop☆」と名付けた。カップ麺やお菓子、調味料、酒類のほか、洗剤など日用品を陳列。お米や野菜などの注文販売も受けている。

昨秋開設したACSの水産加工工場。工場内に直売所がオープンした=佐世保市高島町

 店内では工場スタッフが接客。島民で工場長兼店長の内野麻衣子さん(44)は「気軽に買い物ができるようになり、島民のほか、釣りなどで島を訪れる人からも喜ばれる」と笑顔で話す。しけで出漁できない日には、地元漁師が来店してビールやつまみを買い、漁港で“懇親会”を始めることも。島民が交流する場所にもなっているという。
 重村社長は「次の一手」として、観光創造や産業振興、インフラ整備を促す「コンベンション協会」を年度内に設立する予定。「行政や周辺地域、大学などと連携し、島民が主役の総合的な活性化を考えたい」と意気込んでいる。