「産女の幽霊」3年ぶり開帳 参拝客、母の優しさ思う 長崎・光源寺

2022/08/17 [11:50] 公開

「産女の幽霊」の木像に手を合わせる住職(左)と参拝客の親子=長崎市、光源寺

 おなかの中に赤ん坊がいるまま亡くなった女性が、墓の中で出産し育てたという民話「産女(うぐめ)の幽霊」を受け継ぐ長崎市伊良林1丁目の光源寺は16日、3年ぶりに幽霊の木像や掛け軸を開帳した。
 民話によると、女性は死してなお、産んだ子どもの成長が気がかりで幽霊となり、毎晩あめ屋に通って母乳の代わりにあめを与えた。墓を掘り起こして子どもを助けたあめ屋へのお礼に、水が枯れない場所を教えたという。
 像と掛け軸は毎年8月16日に開帳しているが、新型コロナウイルス禍で3年ぶりとなった。感染防止のため掛け軸は本堂で、木像は書院で開帳した。紙芝居は読み上げずに1枚ずつ本堂に展示した。参拝者は民話を学び、像に手を合わせ、幽霊が買ったとされる米で作られたあめをもらった。
 親子で初めて参拝した同市出来大工町の会社員、古賀愛(めぐみ)さん(38)は「母親の気持ちはすごい。私も子どもに優しさを持って接したい」、長女の優彩(まあや)さん(9)は「最初は怖かったけど、民話を知って優しい幽霊だとわかった」と話した。