ハウステンボス売却でIR誘致は… 佐世保市長「影響ない」

2022/07/22 [11:10] 公開

エイチ・アイ・エスが売却を検討しているハウステンボス=佐世保市

 ハウステンボス(HTB)の売却検討方針が明らかになった21日、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)をHTBへ誘致する計画を進める長崎県や佐世保市は情報収集に追われた。HTBの営業は続く見通しで、関係者からは「IRへの影響はない」との見方のほか、「アジアからの誘客が促進される」との意見も出た。
 朝長則男市長は売却について「驚いた。事業を継続し、雇用をしっかり確保してもらいたい」と要望。HTBの坂口克彦社長にメールで問い合わせ、「社長も知らなかった」と明らかにした。
 県は4月にIR区域整備計画を国へ申請。IRへの影響について、朝長市長は「(HTBとの契約で)用地はIR事業者が仮登記しており、しっかり確保されている。(売却は)資本の移動があるだけ」と強調。国の審査には「全く関係ないと思う」と話した。一方、出張先の東京都内で取材に応じた大石賢吾知事は、売却が決まった場合のIRへの影響について「仮定の話なので答えられない」と述べるにとどめた。
 県と同市、HTBの3者は2019年4月にIR誘致に向けた基本合意を締結。誘致が決定した場合に、IR設置運営事業予定者の「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)が、HTBから用地約30ヘクタールなどを205億円で購入する契約を結んだ。
 CAIJなどが出資し、IRの建設と運営を担う特定目的会社(SPC)「KYUSHUリゾーツジャパン」の大屋高志代表は「売却先の投資会社がインバウンドに力を入れればアジアからの誘客が見込める。隣接するIRはアジアの富裕層を主なターゲットとしており、相乗効果が出る可能性は十分ある」と話している。