南島原市議選 終盤情勢 新人大幅増 激しい攻防、地盤固めに躍起

2022/06/09 [12:10] 公開

 5日に告示された南島原市議選は、12日の投開票に向け終盤に入った。定数19に対して21人(現職12、新人9)が立候補。高齢などを理由に5人が引退し、新人が前回より大幅に増加。複数の候補者が当落線上で激しい攻防を繰り広げている。各候補者は地縁血縁に重きを置き、票固めに躍起だ。
 日頃、のどかな田園地帯を各候補者の選挙カーが疾走。行き交う人に手を振り、子ども連れの家族らに駆け寄っていく。「知名度は現職に劣る。候補者はすみ分けされており、終盤は地盤固め」。新人の一人は知名度不足を補おうと地域をくまなく回る。一方、現職の一人は「新人の動きが分からず不気味」と警戒感を強めつつ、「最後は地元が中心」と強調。いずれも地盤固めへ懸命に動く。
 旧町別の候補者数は▽布津、有家、西有家、北有馬、口之津、加津佐各3▽深江2▽南有馬1。県議に転身した議員や引退議員らの支持層への浸透を狙う。中でも、候補者が3人から1人に減った南有馬町(有権者数約3900人)、大票田の有家、西有家両町(同計約1万1600人)、島原市のベッドタウン化が進む深江町(同約6千人)での票の上積みが鍵を握りそうだ。
 同市は、少子高齢化に歯止めがかからず、新市発足16年で人口は1万4千人近く減少。有権者数は前回(18年)から約2700人減った。前回は激戦だった市長選の影響で、市議選の投票率も前々回(14年)をやや上回る75.72%。しかし、今回は市長選が無投票で終わり、市議選への市民の関心が盛り上がりを欠くためか、各陣営とも「投票率は前回を下回る」と予測する。
 前回は、19番目の当選者の得票が864票。各陣営は今回の当選ラインを800~650票台と踏み、千票前後を獲得すれば「安全圏」とみている。
 コロナ禍で地域経済が疲弊する中、暮らしやまちの活力をどう維持していくのか。深刻化する少子高齢化や人口減少への対応、地域活性化策など課題山積だ。農業に従事する40代男性は「名前の連呼とか、『住みよいまちにします』『市民の代弁者』など、ありきたりの演説はいらない。現実を直視し、具体的な政策を訴えて」と注文を付ける。
 有権者数は3万7292人(男1万7285、女2万7)=4日現在、市選管調べ=。