三菱重工長崎造船所 石瀬 新所長が会見 火力発電の脱炭素化加速

2022/04/28 [12:30] 公開

脱炭素化に向けた火力発電分野の技術革新について説明する石瀬所長=長崎市飽の浦町、三菱長崎造船所

 4月1日付で長崎市の三菱重工業長崎造船所長に就任した石瀬史朗氏(63)が27日、初めて記者会見を開いた。世界的な脱炭素化の流れを見据えた上で、火力発電事業を中心とした技術革新を進める考えを示した。
 石瀬所長は大阪府出身。1983年入社。三菱日立パワーシステムズ執行役員長崎工場地域統括、三菱パワー常務執行役員エンジニアリング本部長など火力発電分野を中心に歩んだ。
 三菱重工は、グループの二酸化炭素(CO2)排出量を2040年までに実質ゼロとする「カーボンニュートラル宣言」を策定。石瀬所長は「さまざまな技術開発や製品を組み合わせたチャレンジによって達成に貢献したい」と強調した。火力発電の知見や経験を生かし、「時代の変化に合わせ、造船所がどのように活躍、貢献できるか協議しながら、脱炭素化の取り組みを進めたい」と述べた。
 火力発電の今後に触れ、「再生可能エネルギーが主役となる一方で、経済活動や電力需要に応える『黒子』として火力の補完が必要」と指摘。▽再エネの弱点を補う技術の確立▽火力発電自体の低炭素化、脱炭素化促進▽設備の高効率化-を進める方針を示した。
 本年度中に完了する予定の香焼工場の大島造船所への譲渡などの事業環境の変化について「さまざまなリスクや需要環境の変化はあるが、ビジネスの商機と前向きにとらえ、取り組みたい」と述べた。
 三菱重工は、アンモニア燃料・発電技術研究を推進。航空機に活用するバイオジェット燃料は昨年6月、国内線旅客機で試験的に供給した。同日、総合研究所長崎地区(長崎市)も公開。同研究所が開発に携わった排ガスからCO2を分離、回収する設備を今後の成長分野として紹介した。