長崎県教育長に就任 中﨑謙司さん(60) 市町、民間と連携強化

2022/04/22 [11:50] 公開

中﨑謙司教育長

 〈長崎県文化観光国際部長から1日付で県教育長に就任。抱負や課題を聞いた〉

 -抱負を。
 教育行政を担うのは初めて。現場に外からの視点や民間との協働を取り入れ、今までの教育行政をさらに厚みのあるものにしていきたい。

 -観光分野を中心とした自身の経験を教育分野にどう取り入れていくか。
 (子どもにとっては)生まれ育った地域で働くことも人生の選択肢の一つ。それを促す「ふるさと教育」の重要性は増している。これまでは長崎の歴史や文化を県外に発信し、人を呼び込むことが(私の)仕事だったが、各地の魅力を伝えるノウハウは、ふるさと教育にも生かせる。(子どもが)机上だけじゃなく、地域の魅力に直接触れることが大事だ。長崎に残る、戻るを判断する時、最後の決め手は「幸せを感じられる」という価値観。ふるさとへの誇りや愛着を育むため、市町と連携し、小中高と一貫したふるさと教育をさらに推し進めていく。
 V・ファーレン長崎や長崎ヴェルカ、美術館や博物館などとの連携を強化。不登校の児童・生徒には、学校以外の場所に出ていくきっかけを提供できれば。地理的ハンディのある離島の子どもたちが本物(の文化やスポーツ)に触れる機会も設けていきたい。

 -県立高校は定員割れが増えている。
 特色ある学校が求められる中、重要なのは地域で求められる人材とカリキュラムが合致すること。ある市長はデジタル人材、別の市長は観光人材が必要だという。各地の産業課題の解決につながるような学校改革が理想。県民に教育の選択肢を示すためにも各校の特色をもっと発信していくべきだ。

 -教職員のなり手も不足している。
 業務の見直しは必要。市町教委とも協議し、負担軽減のため廃止すべきことは県教委として明確な方針を示し、できる限り先生が子どもと向き合う時間を確保していく。部活動のアウトソーシングを含め、分業についても検討が必要。教職員の頑張りや働きがいに光を当てた発信も増やしていきたい。

 -2021年度は教職員の懲戒処分が13件15人。ここ10年で最多だった。
 県民の信頼が大きく損なわれていると言わざるを得ない危機的な状況。目の前の再発防止策だけでなく、各事案の背景に何があったのか掘り下げ、原因を究明していく必要がある。

 【略歴】なかざき・けんじ 長崎市出身。長崎大経済学部卒。1985年入庁。対馬振興局長、文化観光国際部長を経て現職。職員に「巧遅は拙速にしかず」を心構えとして求めた。「完璧で遅いより多少出来が悪くても早いほうがいい。まず行動し、間違いがあれば修正する」