SSK最後の進水 中型ばら積み船1月引き渡し 修繕を柱に経営再建へ

2021/10/21 [11:00] 公開

進水する中型ばら積み船。SSKにとって最後の新造船となった=20日午後1時48分、佐世保市

 来年1月で新造船を休止する長崎県佐世保市の佐世保重工業(SSK)で20日、同社にとって最後の新造船となる中型ばら積み船(8万2千トン)が進水した。1953年に初めて進水した「永邦丸」から数え、510隻目。経営悪化に伴い、中核事業からの事実上の撤退を余儀なくされた。
 同社は今年2月、新型コロナウイルス禍に伴う受注の急減や、コスト競争力の早期改善が困難なことを理由に、売上高の7~8割を占める新造船の休止を発表。250人の希望退職者を募集し、応募した248人が順次退職している。
 最後の進水となった中型ばら積み船はギリシャの船会社が発注。全長約225メートル、幅約32メートル。SSKの岸壁での艤装(ぎそう)を経て、来年1月中旬に引き渡す予定。
 今後は修繕船事業を柱に据え、経営の立て直しを図る。建造用のドックは修繕用に改修。主力の海上自衛隊艦艇のほか、海上保安庁の巡視船や客船、探査船、一般商船、米海軍佐世保基地の艦船などの修繕にも取り組み、事業拡大を目指す。
 同社は1946年、旧海軍工廠(こうしょう)の施設を借り受け「佐世保船舶工業」として設立。62年には当時世界最大の13万トン級タンカー「日章丸」を完成させるなど、高い技術力で佐世保の経済をけん引してきた。
 中国・韓国の台頭で国内造船業界が苦境に立たされる中、2014年には名村造船所(大阪市)と経営統合。同社の完全子会社となり収益改善を図ったが、17年3月期~21年3月期の5期連続で連結決算の純損益は赤字となった。