若手社員ら地域貢献策探る 長崎経済同友会が研究本格化

2021/08/29 [12:00] 公開

オンラインで開かれたキックオフミーティングの画面

 長崎経済同友会は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を長崎地域でどう活用するかの研究を本格化させた。企業の枠を超えて若手や意識の高い社員のネットワークをつくり、社会の課題解決や地域貢献を模索。企業の連携も引き出し、民間主導でSDGsを継続的に推進する仕組みを構築しようとしている。
 「(胸に付ける)バッジはよく見かけるようになったが、経済人の多くがまだ腑(ふ)に落ちていない。企業が『もうかるかどうか』という経済的メリットを追うだけでは、現代のさまざまな問題は解決できない」。7月15日のオンライン会合で、九州教具(大村市)社長の船橋修一氏は、地域におけるSDGsの浸透度がまだ不十分との見方を示した。
 長崎経済同友会は昨年、SDGs研究推進委員会を新設。委員長に船橋氏、副委員長にメットライフ生命保険執行役員長崎本社担当の瀧信彦氏が就いた。九州教具は運営ホテルでの食品ロス削減など、メットライフ生命長崎本社は社員有志発案の地域貢献活動の展開など、それぞれSDGsを積極的に推進している。
 こうした個々の活動を企業間連携でさらに広げようと、同推進委は「長崎コミュニティハピネス活動」と銘打ち、加盟各社に参画を呼び掛けた。7月のキックオフミーティングでは、8社の若手社員や総務・企画部門担当者、長崎大経済学部生らが自己紹介と併せて、自身にとって関心のある「長崎が抱える地域課題」を紹介し合った。
 ANAテレマート長崎支店の入社2年目の女性は、街中にすり減った点字ブロックが多いことなどから「バリアフリー」に着目。富士フイルムビジネスイノベーションジャパン長崎支社の40代男性は、斜面地で崩れた空き家が目立つことから「人口流出で起きる問題。このままでは夜景にも影響する」と危惧した。大学生らは「高い家賃」「野良猫のふん尿被害」などを挙げた。
 進行役を務めた瀧副委員長は、活動推進上のポイントとして(1)インタラクティブ(積極的に意見を交わす)(2)主体性(『自分事』化して行動する)(3)アジャイル(走りながら考える)-の3点を強調した。
 船橋委員長は「弊社はSDGsを社員の業務と位置付けており、各社にも勧めたい。ボトムアップと連携によって、具体的な変化と進展につながれば」と話した。