「成果生み出したい」 諫早・千々石ミゲル墓所推定地 最終発掘調査始まる

2021/08/24 [12:30] 公開

天正遣欧使節の一人、千々石ミゲルが埋葬されているとみられる墓所推定地で始まった最終発掘調査=諫早市多良見町山川内

 天正遣欧使節の一人、千々石ミゲルが眠るとみられている長崎県諫早市多良見町山川内の墓所推定地で23日、真相解明のための最終発掘調査が始まった。
 2017年に続く第4次調査。今回はミゲルの子孫や識者、有志でつくる民間の「千々石ミゲル墓所調査プロジェクト」が当たる。当初は18日の着手予定だったが天候不順に伴い、延期していた。初日は墓石移動や基壇撤去など本格発掘に向けた準備作業があった。
 現存する基壇(約2.8メートル四方)は明治期以降の構築という。日蓮宗形式の墓石には男女2人の戒名が刻まれている。17年の第3次調査では墓石に向かって右側から埋葬施設が見つかり、キリスト信仰用具の一部とみられる玉やガラス板、ミゲルの妻のものと推定される人骨や歯が出土した。
 ミゲルは現在の雲仙市千々石町生まれ。4人の使節で唯一、キリスト教を棄教したとされるが、後半生は謎が多い。今回はミゲルが眠っている可能性がある左側を中心に調査。前回と同じ石造物研究者の大石一久氏、田中裕介別府大教授の体制に加え、発掘調査指導委員会(委員長・谷川章雄前日本考古学協会長)を設置し、多様な専門家の意見を聞きながら進める。
 ミゲルの子孫で、同プロジェクト代表の浅田昌彦さん(67)=川崎市=は「最終調査に着手でき、感慨深い。前回、あれだけのものが出てきたので、皆さんの期待も大きい。ぜひ成果を生み出したい」と話した。