枯死した被爆樹木 保存・展示に向け「国の補助活用可能」 厚労省

2021/05/25 [12:00] 公開

枯死したため保存処理を施したカラスザンショウ=長崎市城山町、市立城山小(2017年2月撮影)

 厚生労働省は24日の参院決算委員会で、長崎市立城山小にある枯死した被爆樹木のカラスザンショウについて「旧城山国民学校校舎と一体のもの」との考えを示し、保存・展示に向けて国の補助事業の原爆死没者慰霊等事業を活用することが可能との認識を示した。
 市は本年度当初予算で、旧城山国民学校校舎内に移設する経費約525万円を単独事業として計上。国の補助が受けられる見通しとなったことを受け、市は「厚労省と調整したい」としている。
 決算委では、秋野公造議員(公明)が「今、被爆の実相を伝える観点から屋内外での効果的な展示方法が検討されている。国の補助事業を使えないのか」と質問。同省の正林督章健康局長は「旧城山国民学校校舎と一体のものとして取り扱うことで被爆の実相をより効果的に伝承することができる」と答弁し、補助事業を使えるとの認識を示した。
 カラスザンショウはミカン科の樹木。原爆で幹の大半が焼け、辛うじて生き残っていたが2016年に枯死したと判断された。現在は保存処理が施され、市の被爆遺構の取り扱い基準で最重要のAランクに分類されている。