食卓からカネミ油症を考える 「次世代」の苦悩伝える 長崎県諫早で市民と集い

長崎新聞 2026/05/04 [12:02] 公開

油症被害の実態について語る下田順子さん(中央)と恵さん(左)ら=諫早市東小路町、市立諫早図書館

油症被害の実態について語る下田順子さん(中央)と恵さん(左)ら=諫早市東小路町、市立諫早図書館

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カネミ油症被害者と市民の集い「食卓からカネミ油症を考えるin諫早」(長崎本土地区油症被害者の会主催)は2日、諫早市内で開かれた。同会代表で同市在住の下田順子さん(64)は、五島で発症した子ども時代からの症状や、若い頃に命を絶とうとした苦しみを吐露。長女の恵さん(36)は「私は母と同じ症状なのに油症認定されない。では自分の症状は何なのか」と述べ、被害者の子どもら「次世代」の苦悩を伝えた。

 油症事件は、カネカ(旧鐘淵化学工業)製の有害化学物質が混じったカネミ倉庫製食用米ぬか油が長崎県など西日本一帯で販売され、1968年に発覚。摂取した母親から有害物質が移行した可能性がある次世代の健康影響が問題になっているが、厳しい認定制度に阻まれ、救済策はない。

 「毒入り油を食べたのは自己責任ですか」-。順子さんは、救済に消極的な国や加害企業の姿勢に言及し、声を震わせた。被害者は深刻な差別や偏見にもさらされてきた。恵さんは不十分な知識や臆測が誤った認識を生むと強調し、「油症問題を風化させないでちゃんと伝えていく」と決意を語った。カネミ油症被害者支援センター(東京)の山岡央さん(53)は被害者の話を深く聞くことの重要性を指摘した。

 友澤悠季長崎大環境科学部准教授(45)は講演し、社会的被害にもかかわらず対応を個人に引き受けさせている社会の矛盾に着目。大村市の詩人、馬場敦子さん(64)による被害聞き取り記録集の朗読もあった。

 集いは長崎新聞社など後援。市民ら約40人が参加した。